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海のプラスチック汚染を減らすには
Photo by Ian Burt
最近、ニュースでよく耳にする海洋プラスチック汚染の問題。なかでも注目されているのがマイクロプラスチックといわれる直径5mm以下の小さなプラスチックです。
マイクロプラスチックは、小さいがゆえに、広範な種類(サイズ)の生物に摂取されます。グリーンピースが2016年に発表した報告書『Plastics in Seafood』には、海産物にマイクロプラスチックが含まれる頻度や、マイクロプラスチックを摂取することによる物理化学的な影響などについて、これまでの研究がまとめられています。最近の研究によれば、マイクロプラスチックはサンゴの成長にも悪影響を与える可能性があるようです。
こうした海洋プラスチックごみの問題に関連して気になるのが、biodegradable(生物分解性)をうたった製品の効果です。従来のプラスチックをこうした製品に置き換えれば、環境影響は低減されるのでしょうか。
米国環境保護庁のサイト(https://ofmpub.epa.gov/sor_internet/registry/termreg/searchandretrieve/termsandacronyms/search.do)では、Biodegradableという言葉を以下のように定義しています。
The ability of a substance to be broken down physically and/or chemically by microorganisms.
つまり生物分解性の製品は、微生物が存在し、適切な条件があれば「分解しうる」ものです。国連環境計画は2015年の報告書で、生物分解性プラスチックの分解は海洋環境では進行に時間がかかることを指摘し、海洋ごみの減量や環境影響の低減効果は小さいとしています。根本的な対策として、やはり廃棄されるプラスチックの量を(生物分解性かどうかを問わず)減らすことが大事だと思います。
Biodegradable Plastics & Marine Litter, UNDP
先日のブログでプラスチック代替素材について紹介しました。国連環境計画でも最近、海洋プラスチックごみを減らすうえでのこうした素材の可能性について分析した報告書を発表しています。また、スターバックスはプラスチック製の使い捨てストローの使用を2020年までに全廃すると発表、シアトル市は7月1日に、プラスチック製の使い捨てストローなどの提供を禁じる条例を施行しました。こうした取り組みが、ほかの企業や自治体にも広がっていくことを期待します。