ファッション業界が目指すDisruptiveな未来とは?

2018 / 7 / 4 | カテゴリー: | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto


Pulse of the Fashion Industry 2018

私たちにとって身近なファッション業界。
サステナビリティの取り組みはどうなっているのでしょう。

調べてみると、Global Fashion Agendaという団体が 業界全体の動向をまとめて毎年発行している報告書 Pulse of the Fashion Industry に行き着きました。

2018年の最新版には、業界のサステナビリティを牽引してきた企業がたどってきた道のりとそこから得た学びを基に作成されたロードマップが掲載されていて(Executive Summary P8)、他の企業が今後取り組みを進めていく上での指針として提示されています。

各企業が行うべき取り組みを、
Phase 1: Building the foundation(基盤を作る)
Phase 2: Implementing the core(中核的な取り組みを実施する )
Phase 3: Expanding to scale(規模を拡大する)



と分け、各フェーズで「素材」や「水、エネルギー、薬品の使用」などの分野ごとに、誰が何をするかが具体的にまとめられています。

ラグジュアリーブランドからファストファッションまで、裾野が広い業界であるからこそ、このような共通の指針を打ち出すことで、各社の取り組みを結集して、より大きな動きにしていく必要があるのでしょう。

そうした意図は、報告書を通して頻繁に使われているdisruptiveという表現にも現れています。

disruptive change, disruptive solutions, disruptive future…

disruptiveは「崩壊させる」「破壊的な」という意味ですが、「既存のシステムや既成概念を破壊させるほどの」というニュアンスを含む「革新的な」「画期的な」「全く新しい」という意味もあります。

disruptive
2. Radically reconfiguring a particular field of business, as by implementing new technologies or a more competitive business model
新たな技術や競争力の高いビジネスモデルを取り入れることで、事業の特定の領域を根本的に再構築する(試訳)

(The American Heritage dictionaryより引用)

3Dプリントを活用して、オンデマンドで洋服を生産する。
SaaSを活用して、洋服を「製品」ではなく「サービス」として提供する。
スマート素材を活用して、ひとつの洋服を好みに合わせて変えて楽しめる製品を開発する。

そのような今までにない技術革新を進めることで、現在の生産、販売、消費のあり方を根本的に変え、全く新しい持続可能な未来に向かって業界全体で進もうと報告書では呼びかけています。

繰り返し使われているdisruptiveという言葉には、ファッション業界がやろうとしていることの大きさと本気度が感じられます。

報告書を締めくくる文には明るい未来が語られています。

We are confident that the creativity and commitment of the fashion industry leaders can create a prosperous fashion industry.
業界のリーダーの創造性とコミットメントによってファッション業界は成功すると確信している。(試訳)

未来のファッションにワクワクしつつ、消費者としてのあり方もしっかり考えていきたいと思います。

(翻訳コーディネーター/翻訳者 山本 香)

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SaaS = software as a service、サービスとしてのソフトウェア

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