欧州で進むサーキュラーエコノミー

2018 / 7 / 10 | カテゴリー: | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

EUは2018年1月、欧州プラスチック戦略をはじめとする
さまざまなサーキュラエコノミーのための施策を採択しました。
欧州プラスチック戦略は、2030年までに欧州市場でのプラスチック梱包材はすべて
リサイクル可能にし、意図的なマイクロプラスチックの使用を禁止することを目指します。

EUは、2015年に最初のサーキュラーエコノミー・パッケージを採択して以来
着実に行動計画を実施し、他国から資源を輸入せずに済む経済へ移行しようとしています。

その専用サイト(https://ec.europa.eu/growth/industry/sustainability/circular-economy_en)には、下記のような説明があります。

In a circular economy, the value of products and materials is maintained for as long as possible. Waste and resource use are minimised, and when a product reaches the end of its life, it is used again to create further value. This can bring major economic benefits, contributing to innovation, growth and job creation.
サーキュラーエコノミーでは、製品と原料の価値は可能な限り長く維持される。 廃棄物や資源の使用は最小限に抑えられ、製品の寿命が終わると、再び価値を創出するために利用される。これは、大きな経済的利益をもたらすことができ、革新、成長、雇用創出に貢献する。(試訳)

従来の「リサイクル」とは違い、製品の設計段階から
「修理できるか、耐久性があるか、再資源化できるか
(repairability, durability, recyclability )」を徹底して考える点、
ゴミを全く新しい製品の原料と捉え、現在EUで10%程度しかない
二次原料の利用に注力していることが特徴的です。

General measures 施策の概要*
●Product design 製品の設計
・Production process 製造工程
・Consumption 消費
●From waste to resources (secondary raw materials) ゴミを資源に(二次原料)
・Innovation, investment and other cross-cutting issues イノベーション、投資など分野横断的な課題

製品の設計
2016-2019年のエコデザイン行動計画
それまでの省エネ路線から変化があり、製品に関する新たな基準で、
– 製品寿命の延長
– 部品の再使用や製品の材料のリサイクル能力
– 再使用部品および/またはリサイクル材料の製品への使用
の要求項目を改善していくとあります。

ゴミを資源に
特に二次原料プラスチックの品質基準を策定していくと専用サイトにあり、
今回の戦略がその具体的な行動です。
今後は、以下の原料やセクターについても行動を起こしていくと考えられます。

Actions for specific materials and sectors
特定の原料やセクターに関するアクション*
・Plastics プラスチック
・Food value chain 食品のバリューチェーン
・Critical raw materials 重要な原料
・Construction and demolition 建築と取り壊し
・Biomass and bio-based products バイオマスと生物由来の製品(バイオ製品)
・Review of fertilisers legislation 肥料関連法規の見直し

翻って日本はどうでしょうか。2016年ごろからようやくこの概念が語られるように
なったものの、実際に取り組んでいる政府自治体や企業の動きは見えてきません。

カタカナで長いので「循環経済」などとしたいところですが、
これまでのリサイクル中心の「循環型社会」のイメージが定着してしまっているため、
何か新たな言葉が欲しい。

欧州との温度差をなくすようなわかりやすく簡潔な表現を探しています。
ご存知の方、アイディアをお持ちの方、ぜひご連絡ください。

*上記の専用サイトより引用、日本語は試訳

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