2018年、子どもたちの「今年の言葉」は?

2018 / 6 / 11 | カテゴリー: | 執筆者:Yukiko Mizuno

The Oxford Children’s Word of the Year 2018

このブログでは折に触れて、英オックスフォード大学出版局が選ぶ
Word of the Year(今年の言葉)と、
その子ども版Children’s Word of the Year(子どもたちの「今年の言葉」)について
取り上げています。子ども版は、英BBCの全国向けラジオ放送Radio 2が毎年行っている
作文コンテストに応募された文章を、同出版局が分析して選ぶものです。

世相を表わすこの言葉、2015年はhashtag(ハッシュタグ)、
2016年はrefugee(難民)、2017年はtrump(トランプ)でした。

そして今年は……?

plastic(プラスチック)が選ばれました。

なぜ今、プラスチックなのか?
発表サイトでは、作文コンテストでの使用頻度が前年から倍増したことに加え、
子どもたちの環境問題に対する関心と熱意が表われていたことを理由に挙げています。
プラスチックが環境と自分たちの未来に与える影響を、子どもたちは痛切に感じているのです。

Plasticという言葉の使われ方にも興味深い変化が見られます。
分析結果を紹介するサイトによれば、
2017年にはbag, box, bottle, cup, chair, toy, spoonなどと使われることが多かったのに対して、
2018年はbag, bottle, rubbish, ocean, fish, waste, pollutionといった言葉と一緒に、
海の汚染、ごみという文脈で用いられる例が見られました。

海洋のプラスチック汚染の問題は最近、特に注目を集めており、
オックスフォードのオンライン辞書サイトでも今年3月の改訂で、
microplasticの語義が更新されています。
マイクロプラスチックは直径5mm以下の小さなプラスチックで、
家庭で使われる製品や包装容器、産業廃棄物などに由来するものです。
沖に流されて外洋に広がり、表面に付着した有害物質とともに生物に摂取されることから、
海洋生物や生態系のバランスに与える影響が懸念されています。
海産物を介しての人体への影響も心配されます。

こうした言葉が注目されるのは、プラスチックの環境負荷、環境汚染に関する
社会の意識が高まっているからでしょう。
意識の変化を、具体的な行動につなげていくことが重要です。

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