Translators in Sustainability 伝わるコミュニケーションへの道
翻訳チェックを考える ミスのない訳文を目指して
Photo by b r e n t
翻訳にはチェック工程がつきものですが、確認する項目や方法が各担当者任せになっていたり、案件によってまちまちだったりといったケースも少なくないのでは。
これはつまり、時と場合によってチェックの質や結果が違ってくるということです。これでは信頼にたるチェックができているとは言えないかもしれません。
改めて翻訳チェックについて考えたいと思い、先日地元の名古屋での勉強会に参加しました。
会の冒頭、いくつかの質問が投げかけられました。
「何をチェックしていますか?」
「どういう方法、順番で?」
「なぜその方法、順番なのか?」
「判断基準は?」
これらの問いに明確に答えられるように、勉強会では、まずチェック項目の洗い出しと分類から始め、自分なりの方法を確立することが提案されました。
大事なのは、チェック項目によって頭の使い方が違うのだから、それぞれに適した方法と順番を考えること。
たとえば、「読みやすさ」や「論理的矛盾の有無」といったいわゆる“翻訳チェック”の項目は、相応の能力があるチェッカーが逐一見ていくしか方法はなさそうです。一方、「スペルミス」「用語集/スタイルガイドの適用」「固有名詞、専門用語の統一」といったルールへの適合性の項目の確認はいわゆる“作業チェック”で、人間よりも機械(ツールやソフトウェアのチェック機能など)の助けを借りた方が確実でしょう。
チェックをする順番もよく考えなければ、ミスの見逃しや二次的な発生につながるおそれがあります。
また、自分なりの基準をしっかり持っておくことも大事です。
独りよがりの基準に頼ってチェックをしていないか。
仕上がった訳文について根拠を持って論理的に説明できるかどうか。
特に、チームで作業を分担する場合には明確に基準を定める必要があります。
いずれにせよ、目指すべきはミスの撲滅!
「人間だから間違えることもある」という甘えを捨て、どうしたらミスをなくせるかを真剣に考えて、より確実な方法を組み立てることが大切です。
(翻訳コーディネーター/翻訳者 山本 香)
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