文章にリズムとウィットを(続編) パラレリズム

2018 / 1 / 6 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

“Parallel Flight” by Chris Shervey is licensed under CC BY 2.0

以前のブログで、文章にリズムとウィットを持たせるテクニックをご紹介しました。

今回は、同じ構造の句を並べるパラレリズムという手法をご紹介します。

皆さんよくご存知の、Think globally, act locally.(地球規模で考え、足元で行動せよ)。
ドラッカーの名言としても知られるこのフレーズは、たった4語でありながら、
「動詞+副詞」と構造をそろえ、「globallyとlocally」を対比させることで強く訴えかける表現です。

昨年末に読み込んだ、コンサルティングのグローバル企業アクセンチュアのCorporate Citizenship Report にも、その他の例として是非ご紹介したい文章を見つけました。

In 2014, we launched Conduct Counts, a program that creates global standards of behavior for employee conduct that are culturally sensitive and locally relevant.
(仮訳)2014年、私たちは、文化的な違いに配慮し、各地域にとって意義ある従業員の行動に関する世界的な基準を作成するプログラムConduct Countsを始めました。

culturally sensitiveとlocally relevant、同じ構造の2つの句を並置させてリズムを出すとともに、globalとlocal(ly)で対比を効かせることで読者の意識は自然とその関係性に向けられます。情報量の多さにもかかわらず、簡潔でリズミカルな表現です。

この手法は、日本語にも適用できます。たとえば、『大転換~新しいエネルギー経済のかたち』(レスター・R・ブラウン著)という本の帯にある以下の表現。

加速する世界
逆行する日本

動詞の形まで「(熟語)+する」にそろえ、「世界」と「日本」の対比を際立たせています。
再生可能エネルギーへの転換が世界中で進むなか、日本はいまだに化石燃料によるエネルギー開発を進めているというこの本の主旨を端的に言い表しています。

このようなテクニックは一朝一夕に使いこなせるようになるものではありません。
さまざまな文章に触れる中で日々良い表現を蓄積させ、ここぞというときに使えるよう備えたいと思います。

なお、パラレリズムについては、以前ご紹介した『A Plain English Handbook』 の34ページに分かりやすく説明されています。併せてご覧ください。

(翻訳コーディネーター/翻訳者 山本 香)

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