Translators in Sustainability 伝わるコミュニケーションへの道
Self-driving people 自ら動く人
先のブログで「自動運転」の訳語のひとつとしてご紹介した self-driving。
トレンドを代表する用語なのでしょう、7月26日付のThe New York Timesのコラムでself-driving carsをもじったself-driving peopleという表現が。
こちらのコラムで紹介されている米国の Airbnb。すでに有名ですが、ホストとして登録した人が空き部屋をゲストに貸し出したり、ゲストとして宿泊先を探したりできるプラットフォームの運営会社です。コラムでは、そこでのサービスのやりとりがself-driving peopleを生むきっかけになるのではないか、と提案しています。
Airbnbでは、宿泊先だけではなく、「体験」もサービスとして提供されており、特に人気を集めているようです。例えば、
・日本人のプロのバイヤーから日本のサブカルチャーについて説明を受けながら秋葉原で一緒に買い物を楽しむ。
・イタリアで農園を営むホストが作ったトスカーナワインや現地の食事を体験できる。
など、ウェブサイトには魅力的なものがズラリと並んでいます。
自分が情熱を傾けていることをサービスとして提供して自身の収入につなげる――NYTコラムでは、そのような self-driving peopleを賞賛しています。
AirbnbのCEOチェスキー氏の言葉が印象的です。
We have these homes that are not used, and we have these talents that are not used. … Why don’t we look at what passions we can unlock?
(試訳)私たちはこのように使われていない家を持ち、使われていない才能を持っている……。私たちはなぜ、どんな情熱を解放できるかに目を向けないのだろうか?
すでに持っているもののなかには十分活用されていないものがある。誰もが元来持っているはずの才能や情熱にも眠ったままのものがあるのでは?というメッセージです。それを、人生を生きていくエネルギーに変えられれば(=self-driving)、外的な要因に左右されにくい生き方ができるかもしれません。
こちらのコラムの抄訳が8月9日付の朝日新聞に掲載されています。その見出しは<「なりたい自分」を可能に>。自分の可能性を追求することの大切さを訴えかける表現ですね。
自分の中に解放できる情熱が眠っていないか、改めて考えてみるのも良さそうです。
(翻訳コーディネーター/翻訳者 山本 香)
Photo: “IMG_6917” by Wine Country Walking Tours is licensed under CC BY 2.0