昇進に潜むリスク glass cliff

2017 / 2 / 8 | 執筆者:EcoNetworks Editor

climbing Photo by Alli Day

先月のブログでもご紹介した英オックスフォード大学出版局が選ぶ
Words of the Year。「post-truth」(ポスト真実)のほかにも、
候補リストには2016年を象徴する流行語が並びました。

たとえば「glass cliff」(ガラスの崖)。
「glass ceiling」(ガラスの天井)といえば
女性やマイノリティのキャリアアップを阻む見えない障壁を表しますが、
「glass cliff」(ガラスの崖)とは?

この言葉の名付け親、英エクセター大学の2人の教授は、
2004年に行った調査で、業績不振や危機状況下にある企業では、
男性より女性がリーダー的な役職に起用される傾向が
あることを発見したそうです。

2014年の米ユタ州立大学調査では、実際に
Fortune500にランキングされる企業の女性CEO24人中、
42%が会社の業績不振中にCEOとして起用
されていました。

「glass cliff」(ガラスの崖)は、
女性やマイノリティがやっとガラスの天井を突き破り、
リーダーの役職への昇進に成功したとしても、
危機下の組織を率いることを余儀なくされ、
マネジメントに失敗するリスクが高く、
その立場は非常に危うい、という状況を表します。

業績不振が長く続く組織では、
おのずとトップに注目や関心がいくことになり、
失敗したとなれば批判されやすくなります。

イギリスでは、政府や企業の取り組みにより、
女性管理職の比率が近年上昇している社会背景があります。
FTSEの選出100社の女性役員比率は12.5%(2011年)から、
たった4年間で26.1%(2015年)に急上昇しました。
「glass cliff」という言葉は特に、
このような立場にある多くの女性の共感を得ているに違いありません。

「glass cliff」に潜むリスクを知っておくことで、
業績がどのように改善したのかを評価する際に、
女性やマイノリティに対する性差別や偏見を避けることができそうです。

同時に、昇進後のサポート体制の整備も必要です。
今後ますます女性の活躍が広がっていくなか、注意しておきたい言葉です。

(リサーチャー 佐原理枝/Rie Sawara-Cermann)

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