Translators in Sustainability 伝わるコミュニケーションへの道
国内、海外、どう訳す?
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CSRレポートの翻訳で必ずと言っていいほど
使われる表現があります。
それは国内グループ会社、海外グループ会社。
英語版レポートを作成するための翻訳をご用命いただくので
やはり世界各地にグループ会社や関連会社がある場合が多いからです。
思い立って、Google翻訳を使ってみると
domestic group companies
overseas group companies
となりました。もちろん、意味は合っています。
しかし、果たしてこのまま使えるでしょうか?
この言葉の前の文脈で「国内」がどの国の内側で、
「海外」がどの海の外側なのかが明白であれば良いのですが、
その記述がない場合は、読者が混乱してしまう可能性があります。
それを避けるために、例えば日本に本社がある企業であっても、
世界規模で事業活動を展開している場合は、
group companies in Japan
group companies outside Japan
のように、地域としての分類「日本」を使って表現すれば、誤解が生じません。
また、様々な国籍を持つ社員を雇用している企業も配慮が必要です。
foreign employees とすると、どの国以外を「外国」とするのか、
前提の説明が必要になります。
ドイツに本社を置く総合化学メーカーBASFのOnline Report 2015の
Inclusion of diversity のページでは、
BASF wants to continue increasing the global percentage of senior executives that come from countries other than Germany.
と、「ドイツ以外の国」出身のsenior executivesの割合を
引き続き増やしたい、と述べています。
Global editionである英語版レポート。
本社がどこにあるかを読者が知っている前提での表記となっていないでしょうか。
どこで、どのようなバックグラウンドを持つ読者が読んでもわかりやすい。
そんな bias free なレポートを目指します。