Unabated emissions:削減対策なしの排出

2016 / 6 / 1 | 執筆者:Masako Maeda

unabated
先日、和訳をご支援した
ECOFYSの報告書(WWFヨーロッパ政策オフィスより受託)
“The Incompatibility of High-Efficient Coal Technology
with 2 ºC Scenarios(高効率の石炭技術は2度シナリオと矛盾する)”
の中で、unabated という言葉が使われていました。

耳慣れない言葉に辞書を引くと、
「(力などが)衰えない、減じない」(ランダムハウス英和大辞典)
とあります。

この unabated という言葉、調べてみると
IPCCが2000年に発表した”Emissions Scenarios”や
2001年の”Climate Change 2001: Synthesis Report”などの報告書でも、
unabated emissions という表現で登場しています。
英字メディアでは、地球温暖化の進行により
気候変動が切迫した危機として報じられることが多くなった
2005年頃から使用頻度が増えているようです。

今回のWWFジャパンさま監修の日本語版では
「削減対策なしの」という日本語が採用されました。
では、「対策なし」とはどういうことでしょうか?

unabated emissions とは、
CO2削減策を実施していない施設からの排出を指します。
たとえば、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage:炭素回収・貯留)
などの技術を実装していない石炭火力発電所は
“unabated coal-fired power plant(削減対策なしの石炭火力発電所)”
と呼ばれます。

CCSは、工場や発電所から排出されるCO2を回収して
地中や海洋に貯留する技術で、大規模なCO2削減が期待できるため
温暖化対策の切り札ともいわれています。
この技術を採用している発電所は abated、
採用していなければ unabated ですが、
CCSは非常にコストのかかる技術のため、
普及に時間がかかるだろうといわれています。

IPCC第5次評価報告書(AR5)の2度シナリオは、
2050年までに削減対策なしの石炭火力を廃止する
必要があることを示しています。
パリ協定で打ち立てられた「2度未満」の目標に向けて
unabated emissions を減らすのはもちろんのこと、
化石燃料に頼らない持続可能なエネルギーシステムの
早期実現が求められています。

Photo by David Scaglione

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