自然への畏敬の念 Tapu(Taboo)と自然保全

2016 / 6 / 13 | 執筆者:Yukiko Mizuno

tapuPhoto by Foreign and Commonwealth Office

先日このブログで、生物文化多様性ついての記事を掲載しました。
「日々の暮らしの中で、自然を畏れ感謝する」ことを考えていて、
tapuという言葉を思い出しました。

Tapuは、英語のtaboo(禁忌、タブー)の元になったポリネシア地域の言葉で、
神聖であるために禁じられたり制限されたりする場所やものなどを意味します。
18世紀にキャプテン・クックが太平洋航海を行った際に、トンガで初めて
耳にした言葉だと言われています。

ポリネシアには古くからtapuという概念があり、
ニュージーランドの先住民であるポリネシア系のマオリの人々は、
昔、数種類の鳥類をtapuとして神聖視していました。

ポリネシアの島嶼国では今でも、海や森の資源を守るために
村落で特定の場所や自然資源についてtapuを設定しているところがあります。
特に海洋資源に関しては、tapuが実質的には禁漁区としての役割を果たしてきました。
近年設定が進んでいる海洋保護区(Marin Protected Area)も
こうした禁漁区を中心に設けられるものが多いようです。
Tapuを中核とする海洋保護区も、前回紹介したセネガルの漁業管理の例と同じように、
伝統的な要素と最新の要素を組み合わせたものと言えるでしょう。

このような手法が生きるのは、法や規則で律する以前に
地域に住む人々の意識と行動が、世代を超えて受け継がれてきた
自然への思いによって律せられているからだと思います。

時代が変わり、グローバル化が進むなかで、伝統的な習慣や決まりごとは
形を変え、失われていくものもあるかもしれませんが、
根底にある自然との距離感は保っていきたいものです。

日々の暮らしの中で、自然と親しみを持つこと。
自然と共に生きていくことの大切さと喜びを肌で感じること。
そうした思いを、次の世代へと、きちんと伝えていきたいと思います。

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