Translators in Sustainability 伝わるコミュニケーションへの道
bonding = 緊密な関係づくり
Photo by Andy Morffew
世の中には、翻訳できない、つまり外国語で表現できない言葉があるようです。
米国に住む翻訳者の方から「面白いサイトがあるよ」と、
教えてもらったページ Lost in Translation ― 10 untranslatable words には、
スウェーデン語などの言葉に混じって、日本語が3つも。
10のうち3つですから30%とかなり高め?でしょうか。
美しいイラストと共に紹介されていたのは、
- こもれび
- 積読
- 侘び寂び
確かに説明調でいくつかの単語を使ってなら、英訳できますが、
一言二言で表す表現が思いつきません。
その他にも、英語ネイティブの友人が以前「根回しという言葉は、英語にはないね」と
nemawashi と アクセントをつけて話していたことを合わせて思い出しました。
ところが、朝日新聞の日曜版「GLOBE」6月5日号の連載記事
『Breakthrough~突破する力』で、
保険監督者国際機構事務局長の河合美宏さんの記事に「!」の発見が。
国際規制づくりの第一線で活躍されている河合さんが、
意見をまとめるために、根回しや非公式な場でのきずなが重要なんです、と。
そして、英語で ボンディングと言うとありました。
スペルが知りたくて調べると、
bond
緊密な結びつき (bonding) を確立する
(リーダーズ英和辞典第2版より引用)
一方、なんとなく使っていた「根回し」を調べると、
大木を移植する1~2年前に、その周囲を掘って、側根の大きなものと主根とを残し、
その他の根を切り、細根を発生させ、移植を容易にすること。果樹の結実を良好にするためにも行う。
比喩的に、ある事を実現しやすいように、あらかじめ周囲の各方面に話をつけておくこと。
(広辞苑第六版より引用)
個人的には、根回しとbonding の間には少し距離があるように感じますが、
どちらも、時間をかけて丁寧に、しっかりとした関係を作ることをあらわすという点では
共通しており、TPOを選べば使える英文表現。
これまでの翻訳で、「つながり」を bond, link, connection としたことがありますが、
また1つ「生きている英語」を知ることができて、うれしい発見でした。