Translators in Sustainability 伝わるコミュニケーションへの道
ことばは「言葉」 葉をみて、木をみて、森をみて
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翻訳の資料にdownsideという言葉が出てきました。
辞書には以下のように説明されています。
downside (noun)
1 a downward trend (as of prices)
2 a negative aspect
(Merriam-Webster: Dictionary and Thesaurus)
downside
[名詞]
1 下側,底側
2 (値段などの)下がる傾向
3 不利な[否定的な]面
[形容詞]
下側の;下降の;〈特に株価が〉下がる傾向の
(ランダムハウス英和大辞典)
さて、実際の使用例をいくつか挙げてみます。
downside for the producers
downside price potential
GDP disappoints on the downside
downside demand
単語の意味や前後の文脈を念頭に、今回は以下のように訳しました。
製造業者に不利な点
価格が下落する可能性
GDPが期待を下回る
需要の下方変動
今回の資料には、似た意味を持つ言葉が続いて出てくる例もありました。
エネルギーの将来予測に関する、以下のような記載です。
A, B and C are the most optimistic scenarios. D is the most bullish.
Optimisticにもbullishにも「楽観的な」という意味があります。
それぞれのシナリオの特徴を図で確認しながら、以下のように訳しました。
最も楽観的なシナリオはA、B、Cである。一番強気なのはDである。
原文の意味をきちんと訳出するには、
「その言葉が、そこでは何を意味しているのか」を捉えることが大切です。
やはり基本は、個々の単語の意味はもちろん、
文、段落、そして文章全体の意味をしっかりと理解すること。
文字以外にも、グラフや表、イラスト、写真なども
内容を理解するための貴重なヒントになります。
葉(単語)をじっくりと観察する。
それから木をみて、森をみる。
さらには木々以外のものにも目を向けてみる。
そうすると、だんだんと葉の役割が見えてきて、
空から森全体(文章の意味)が見えたと実感できる瞬間があります。
難解な言い回しや表現を前にして
樹海に迷い込んだような気分になったときには
緑の深い森の中で葉っぱを片手に途方に暮れる自分を想像して見てください。
ちょっと肩の力が抜けて、視点を変えるきっかけになるかもしれません。