Translators in Sustainability 伝わるコミュニケーションへの道
hangover = 二日酔い、余韻。では、overhang = ?
Photo by fdecomite
気候変動の資料を読んでいて、overhang という言葉が出てきました。
The overhang of capital
Coal overhang
overhang を英英辞典で引くと、以下のように説明されています。
1. the part of something that sticks out over and above something else
2. the amount by which something hangs over and above something else
3. the state of being extra to what is required; the things that are extra
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary, Eighth Edition)
接頭辞のover (限度を超えて、過大に、極端に)と、
hang (ぶら下がる、垂れ下がる、突き出る)を合わせた言葉だということが
よく分ります。
さて、今回の資料にあった overhang は三つめの意味で、
overhang of capital は「過剰な資本」、coal overhang は「過剰な石炭」でした。
文脈によってはoverhangを「だぶつき」と訳す場合もあります(例:供給のだぶつき)。
ところでこの over と hang の順を逆にすると
hangover となり「二日酔い」、「余韻」という意味になります。
前後を入れ替えただけなのに、言葉というのはおもしろいですね。
今回の資料では、もう一つ、同じように
順番が違うと意味が全く違ってしまう言葉に出会いました。
shale oil と oil shale です。
shale oil(シェールオイル)は頁岩油(けつがんゆ)とも呼ばれるもので、
地下の頁岩層に残留している原油です。
2000年代半ばから開発が進み、米国などで採掘が行われています。
一方、oil shale(オイルシェール)は、
油頁岩(ゆけつがん)または油母頁岩(ゆぼけつがん)とも言い、
ケロジェン(石油や天然ガスに化学変化する前の高分子有機物)を
多く含む頁岩を指します。
オイルシェールを採掘・乾留することによって石油を得ることができますが、
コスト面の課題があり、商業生産量は限られているようです。
似て非なる言葉というのは、意外と多いのかもしれません。
うっかり意味を取り違えることのないよう注意したいと思います。
* シェールオイル、オイルシェールについてはこちらを参考にしました(参考サイト1、2)。