改めて、日本語の作文技術

2016 / 1 / 9 | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

エコネットワークスの創設以来、お仕事をお願いしている翻訳者さんに
10年ぶりにお会いする機会がありました。
当社の翻訳トライアルの審査員もお願いしている方です。

私が金沢に戻る新幹線のホームまで同行くださり、
積もる話をしていたときに、ふと思い立って

「日本語の勉強をされた事はありますか? 」

と、お聞きしました。ちょっと間があって、

「受験勉強ぐらいですけれども?? 」

とのお返事。日本語ネイティブの方ですから、当然といえば当然の反応です。

「いつもわかりやすい訳文に仕上げてくださるので
何か秘訣があるのなら教えていただきたい、と思いまして」

と、話すと、↓この本の話が。

日本語の作文技術

 

 

 

 

 

 

 

<新版>日本語の作文技術
本多勝一 著

ずいぶん前、まだ翻訳を勉強中の頃、翻訳講座を受けた際に、
講師の方からこの本を勧められ読んでみたところ、腑に落ちる学びがたくさんあり、
今でもその時覚えた原則が役に立っているんですよね、と。

やっぱり、読んでいましたか! と納得しました。

特におすすめなのは、修飾する側とされる側の位置づけや、修飾語の順序の4つの原則。

例えば、 1つ目の原則「節を先に、句を後に」の説明では、以下の6つの例が挙げられています。

1.白い横線の引かれた厚手の紙
2.厚手の横線の引かれた白い紙
3.白い厚手の横線の引かれた紙
4.横線の引かれた白い厚手の紙
5.横線の引かれた厚手の白い紙
6.厚手の白い横線の引かれた紙

「紙」を修飾する3つの言葉を、どの順序で置くのが最も分かりやすいでしょうか。





4と5以外は一瞬、「白い横線?」「厚手の横線?」と
この部分が修飾と被修飾の関係にあるように、読めませんか?
(厚手の横線は、すぐおかしいとわかりますが。)

「横線が引かれた」という節(clause)を前に
「白い紙」「厚手の紙」と言う句(phrase)を後に置くと
そのような誤解はないと、本書にあります。

その他にも、句読点の打ち方など、中学生以上の方に読んでいただきたい、
日本語を書く上での原則が体系的にまとまっています。
良い例と悪い例を挙げてあるので、わかりやすい!

チェック業務ではもちろんですが、
翻訳専門学校フェロー・アカデミーの講座の講師としても
さまざまな訳文を読む機会があります。
以前の講座で「明快な訳文だな」と思う方も、やはりこの本を読んでいました。

明快な訳文とは、「誰が何をどうする」といった文の構造が一度で理解でき、
すっと読める、つまり戻って確認する必要がないものです。

昨年12月に文字が大きくなった新版が出たので、再度購入しました。
「日本語の教科書」と呼びたい、古くて新しい1冊です。

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