「安全・安心」、どう訳す?


Photo by Georgie Pauwels

「安全・安心をお届けする」というフレーズは業界を問わず、よく聞かれます。安全(な) =safety (safe) はお客さまとも認識のズレがなく、スムーズに進むのですが、問題は「安心」の部分です。

「安全・安心」の訳語の候補として考えられるのは safety と security です。safety を英英辞典で調べると、not in danger、security は、protection from danger とあります。つまり safety は「物理的に危険がなく安全な状態」を表し、security は「危険から守られていて安全な状態、危険などを心配したり恐れたりする必要がないこと」を表します。このような意味合いから、security =「安心」の訳語として、使用している翻訳も見られます。

しかし、注意したいのは、security を使うべき内容か、文脈か、です。security は危険や損害だけでなく「犯罪から守られている」意味合いもあるからです。日本語では犯罪防止の意味でカタカナで「セキュリティ」としますし、英語でもそのニュアンスがあり、例えばイギリス政府が外国旅行客に対する情報を掲載するサイトを Safety and security としています。また、国連関連の記事では、security =「安全保障」が定訳です。そのようなニュアンスまで含めて良いのか、という視点が必要です。

それでは「安心」をどのように英訳したらよいのでしょうか。例えば、心の平穏= peace of mind としたり、形容詞としてsecureを用いて secure environment (心配のない環境)として文の流れにうまく乗せることもできます。また、実際の翻訳では、safety のみで「安全・安心」を伝えることができる場合も多いのです。

実務翻訳では、原文の意味を正しく伝えることが求められますが、意図せずに原文以外のニュアンスを伝えていないかを確認する「ネガティブチェック」が必要です。弊社のネガティブチェックで気になるポイントをお客さまにご説明すると、はっとされる場合も多く、ご相談しながら英訳を作り上げていきます。

日頃よく使うフレーズなどについて「これって、英語ネイティブに正しく伝わっているのかな?」と疑問をお持ちでしたら、ぜひご相談ください。ご連絡をお待ちしています!

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