健全性、どう訳す?

2014 / 11 / 6 | カテゴリー: | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi


Photo by Pam Nesiac

健全な環境は、例えば healthy environmentという表現がよく使われていますが、
「健全性」も様々な文脈で用いられることがあるため、使い分けが必要です。

もっとも汎用性の高い用語は、soundness です。
金融に関して見てみると、IMFのFinancial Soundness Indicators (FSIs)がありますが、
日本語サイトで「金融健全性指標は各国の金融セクターの強みと弱みを評価するために使用」されるとあります。

関連する用語として、financial stabilityがあります。
直訳は「金融/財務の安定性」なのですが、2008年のリーマンショック以降、
特に金融機関の財務健全性を表す言葉として使われる文脈が増えてきました。

その理由は、主要な金融機関が破綻すると、
世界の金融システムに与える影響が大きいためです。
2009年4月に、金融安定委員会(Financial Stability Board, FSB)が
前身の金融安定化フォーラム(FSF)を拡大・強化する形で設立されていることからも
金融の安定性をより重視する様になっていることがわかります。

その他の健全性を表す単語として、integrity、prudenceがあります。
integrityは、道義的な健全性(moral soundness)、
あるいは完全性(completeness)を表す文脈で見ることができます。
また、prudenceは、堅実性を表す文脈で使われ、
保険会社の名称にこの類義語が使われていますね。

今はまさにスポーツの秋ですが、クライアントにとって重要な用語であればあるほど、
いくつかの案を提案できる「筋力」を鍛えたいと感じるこの頃です。

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