Translators in Sustainability
smart = スマート
smartは、人の形容詞として使う場合「聡明な、賢い」、少しネガティブには「ずる賢い」と言う意味で、あるいは外見について、good-lookingの意味で使います。さて、このsmartという形容詞、最近は一時期のgreen=「環境の、グリーンな」と同じぐらいよく目にするようになりました。
smartのもう一つの意味である「情報処理機能を持った、スマートな、インテリジェントな」ものが私たちの身の回りにだんだんと増えてきたからですね。スマートフォンしかり、また、情報データの記録や演算をするためにICチップを組み込んだカードは、国際的にsmart cardと呼びますが、マヤ文明のような模様の金色の小さな四角が、ほとんどのATMカードに付いています。
「スマートグリッド」は「次世代送電網」が定訳となりつつありますが、各家庭にスマートメーターと呼ばれる電力メーターを配置し、そこから得られたデータを分析して、電力の需給を調整する送電網です。このスマートグリッドとセットで考えられているのがHEMS(ヘムス)、home energy management systemで、太陽光パネルや風車で自家発電し、余剰電力は電気自動車やハイブリット自動車に充電する仕組みです。経産省のウェブサイトでは、スマートコミュニティ構想が掲載され、その実現に向けて参加企業を募っています。
英文では、特にタイトルやコピーで、smartという言葉にさらに「粋な、今風の」と言う意味を同時に持たせて使っているのが感じられ、「賢い? 情報処理機能搭載型? おしゃれな?」と、考えた挙句「スマート(な)」と訳すことも多いです。smart gridの定訳に関しては、「今風の」という意味合いが「次世代の」と言う意味まで発展しています。そもそも今風と言うのは、人よりもちょっと先を行く感じを言うのかもしれません。
そんなことをグルグル、グルグルと考えながら、翻訳を進めるわけです。私もスマートになりたい!