Translators in Sustainability 伝わるコミュニケーションへの道
integrity=インテグリティ(誠実さ)
GRIガイドライン第4版(G4)の日本語版の制作が進んでいる中、弊社では、G4で使われている重要用語について、研究を進めています。前回は、ディーセント・ワークについてでしたが、今回はintegrity。
英英辞典では
the quality of being honest and strong about what you believe to be right.
日本語にすると、「自らが正しいと信じることに誠実で、断固たる姿勢を貫く性質」となります。それでは、企業は自ら何を正しいと信じ、どのようにしてそれを守るのでしょうか。
グローバルコンパクトのCorporate Sustainability with Integrity: Organizational Change to Collective Actionのイントロダクションの左段中ほどに、それを提示している箇所があります。
companies are asked to integrate anti-corruption and compliance measures into their business strategies and operations. Companies develop their own code of conduct, including the implementation of a zero tolerance policy and a range of rules and regulations concerning gifts, political contributions, charities and travel. To apply these policies, companies implement a range of actions, including the establishment of anonymous hotlines, employee training, supply chain management, risk assessment and disciplinary measures.
つまり、行動規範(何を正しいと信じるか)を作り、それを守るために行動する(どのようにしてそれを守るか)ことが求められています。それが、腐敗防止およびコンプライアンス対策をその事業戦略や運営に統合(integrate)することだと。さらに言うと、事業戦略や運営に組み込んでみて初めて誠実なのだ、そのような思いが込められています。
表裏一体。「言うこと」と「行動」に一貫性があり、ブレがない状態= integrity。残念ながら、日本語で一言で言い切れない要素がたくさんあり、インテグリティ(誠実さ)と仮置きしています。
インテグリティある企業をめざした取組みを実践する際に、どのような点に注意すべきかをこちらのブログページにまとめていますので、ぜひご覧ください。
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余談ですが、このブログを書いているときに、ふと浮かんだのが最近人気のテレビドラマ「半沢直樹」です。5億円の融資先企業が倒産、その責任を一身に背負わされて回収に奔走する融資課長。ところがどうも計画倒産の疑いがあり、社内にそれに関与している人物が。そして、彼を降格させようとする不正な動きも。彼はこれらを断固として許しません。徹底的に追及し、確たる証拠をつかんだ時は、きっちり謝罪させる。
フィクションなので、状況設定などある程度割り引く必要があるとは思いますが、冒頭に述べた、「自らが正しいと信じることに誠実で、断固たる姿勢を貫く」彼の姿勢が、視聴者の共感を得ているのかもしれません。