Translators in Sustainability 伝わるコミュニケーションへの道
quota=「割当」ですが…
2012 / 6 / 7 | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi
このところ、少し(というか、かなり)専門的な話になってますが、今回は、翻訳は「動詞+目的語」のセットで考える、という王道を改めて思い出した一件だったので、ご紹介しますね。
quotaですが、みなさんならまず、どんな訳語が浮かびますか? 通常、温暖化の文章でquotaとでてきたら「割当」です。先日、ご用命いただいた英日翻訳は、排出量取引に関する資料だったのですが、quotas are imposedとなっていました。さて。。。「割当」をimposeする(負わせる、課する、賦課する)とは言いません。割当は「与える」ものです。imposeされるquotaはいわゆる「ノルマ」ですので「削減義務」としました。
しかしながら、削減しなければならないとは限らないので、「排出上限を課されたら」のほうがよいかもしれません。要するに、「排出割当が決まって現在の排出量に上限を課されることになったら」ということなので、「削減義務」に違和感がある場合は、上記の「排出上限を課されたら」を、クライアントに提案するのがよいでしょう。
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