Translators in Sustainability
emissions trading=「排出量取引」
By kevin dooley
今回は、すでに20年以上の歴史を持つ「emissions trading」について、改めて日本語訳を整理したいと思います。
以下はその訳例と、Googleでのヒット件数です。(そのことばが一回でも書かれているとヒットするので、重複もあります。)
「排出量取引」 315,000件、
「排出権取引」 478,000件、
「排出枠取引」 31,400件、
「排出許可証取引」 5,000件、
「排出証取引」 17,600件
こうしてみると、排出量取引、排出権取引が既に市民権を獲得していますね。排出枠取引は、emissions tradingで2つある方式のうちの cap and trading system の訳語とするのが適切かもしれません。
しかしながら、京都議定書や環境省のサイトには、排出量取引となっています。また、東京都も排出量取引制度としています。
京都議定書全文
http://www.env.go.jp/earth/cop3/kaigi/kyoto01.html (和文)
http://unfccc.int/essential_background/kyoto_protocol/items/1678.php (英文)
環境省 国内排出量取引制度
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/
東京都 総量削減義務と排出量取引制度
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/large_scale/cap_and_trade/ (和文)
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/en/climate/cap_and_trade.html (英文)
(東京都は、2008年7月、環境確保条例を改正し、日本初の「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」(The Tokyo Cap-and Trade Program)を導入。削減義務は、2010年4月から開始されています。)
実は、「排出権」ということばには、「排出する権利がある」「排出してもよい分」という上から目線のニュアンスがあり、排出量を削減していこうという本来の目標からはずれる、という考え方の人も多く、特に学界ではあえて「排出権」を使わないようにしているためです。
では、「排出権」にあたる英語は何か? それは次回にまとめます。