Translators in Sustainability
排出権? 排出許可証?
前回の内容をうけて、今回は、「排出権」にあたる英語は何か?について整理します。
権利と言うと、rightがまず頭に浮かびますが、英語では決してright という言葉が使われることなく、permitsやallowanceという、排出する側が枠をもらう、という意味の語が使われます。つまり、排出権=emission permits, emission allowance となります。
さて、さらにemission permits を英日で訳出すると「排出許可証」となりますが、現状「排出許可証」と「排出権」は同義とされているため、emission permits をこのふた通りに訳すことができます。しかし、前回もご紹介した通り、「排出権」ということばには、「排出する権利がある」「排出してもよい分」という上から目線のニュアンスがあり、排出量を削減していこうという本来の目標からはずれる、という考え方の人も多いため、アカデミックな文献ではどちらというと「排出許可証」をよく使います。
「排出権取引」が一般的に使われているため、クライアントさまとご相談しながら、訳語を決定しますが、前回と今回の整理から、「排出権」「排出権取引」は2番目のオプションとしてご紹介したほうがよさそうです。