/ リサーチャー

川平 紗代さん Sayo Kawahira

オーストラリアで、フルタイムで働きながら、大学院で学んだサステナブルビジネスの知識を活かしてエコネットワークス(ENW)のリサーチャーとして活躍中の川平紗代さん。オン/オフ共に充実したオーストリア流ライフスタイルを満喫中です。

持続可能な社会を創る力として働いていきたい

- エコネットワークス(ENW)に参加したきっかけは?

日本の大学を卒業後、オーストラリアの大学院でMBAを取得し、そのまま現地で働いていた時、サステナブルなビジネスが日本ではどれだけ進んでいるか、インターネットで調べている時にENWを知ったのが、きっかけです。私が人生をかけてやりたいことは、持続可能な社会を作り出すことなので「こんな進んだ取り組みをしている企業が日本にあるなんて」と嬉しくなりました。そこで、ダメ元でENWに「オーストラリアに居ながらも何か自分がお手伝いできることがあればやらせてください」とメールを送ってみました。ほどなく代表の野澤健さんからお返事をいただき、お仕事がスタートしました。2016年の秋のことです。

-ENWではどんな仕事をしているのですか?

主にリサーチャー、ライターの仕事をしています。ウミガメについてのコラムや、オーストラリアでエシカル商品に関する活動をしている企業の代表にインタビューをしたこともあります。(インタビュー記事はこちらです。)

-面白そうなお仕事ですね! ところで、普段はフルタイムで別の分野のお仕事をしているのですか?

はい。レストランバーのマネージャーをしています。オーナーはオーストラリア人なのですが「カラフルで、みんなが笑顔で楽しそうに働いている」という、オーナーが日本に来た時の印象を表現した、楽しい雰囲気のレストランです。大学院時代からアルバイトとして働き、卒業後、正社員になりました。今は新規店舗の店長の立ち上げサポートなどをしています。楽しく、やりがいのある仕事ですよ。

それに加え副業として、日本語講師として個人レッスンをしています。友人知人の紹介などで私のことを知った方が生徒なのですが、日本のことや日本語に興味を持ってもらえるのが嬉しいです。これらのお仕事に加えて、エコネットワークスの仕事をしています。

-いろんなお仕事をしているのですね! 忙しくないですか?

オーストラリアでは正社員としてフルタイムで働く場合も週38時間しか働きません。そのため、自分の時間をしっかり持てるんです。レストランの仕事以外の時間をうまく他の仕事に使いながら、週2日はお休みがとれるように工夫しています。

-それは良いですね。そもそも、オーストラリアで勉強するようになったきっかけ、サステナビリティに興味を持つようになったきっかけは?

もともと泳ぐことと海が大好きだったので、高校生の時に「将来は沖縄でスキューバダイビングショップをオープンしたい」と思い、大学は経営学部経営学科に進学しました。今思えると安易な理由で、よく両親が許してくれたなあ、と思います(笑)。

環境やサステナビリティに関する問題に興味を持ったきっかけは、大学3年の時にインドのグジャラート大学に4か月間留学した経験です。「昔から興味があった英語を学びたい」という想いだけで交換留学制度に応募し「せっかくなら旅行ではなかなか行けない場所に行ってみたら?」という両親の勧めもあり、行き先をインドに決めました。

このインドでの体験が、自分の価値観を180度変えました。空港を出た瞬間にホームレスやストリートチルドレンからの物乞いに囲まれたこと。ストリートチルドレンの子どもたちに折り紙を教えたこと。いろんな宗教、考え方の人たちに会い、語り合ったこと。これらの体験から世界にはたくさん問題があるけれど、それを変えようとする動きもたくさんあることを知り、そうした変化を作りだす力に自分もなりたい、と思うようになりました。

 

グジャラートの町中の様子。

インドでは、新年のお祝いにも参加しました。

インド留学で「自分の英語力をもっと上げなければ」と痛感したので、インドから帰国後は英語が国語になっているフィジーに語学留学し、英語力を上げました。そして、今も住んでいるオーストラリア・クイーンズランド州にあるクイーンズランド大学の大学院に出願し、ビジネスとサステナビリティについて学びました。

-大学時代の気づきが、今の川平さんの人生につながっているのですね。オーストラリアには何年住んでいるのですか?

今年で7年目です。クイーンズランド州は “Sunshine State”と言われているほど晴れが多い場所で、1年のうち320日が晴れです。海や山に近いので、スキューバダイビングやサーフィン、キャンプ、登山などアウトドア活動がいろいろできます。また、世界遺産のグレート・バリアリーフのサンゴ礁群を見に世界中から旅人がやってきます。町はのんびりした雰囲気で、優しくてフレンドリーな人が多く、暮らしやすいですよ。みんな仕事よりも家族や自分の楽しみを大事にしているので、午後3~5時には仕事を終えて家に帰って自分の時間を満喫します。

小学校から高校の間に第二言語で日本語選択し学んでいる人が多いので、日本語に興味を持ってくれる人が多い点も、日本人として嬉しいです。

グレートバリアリーフです。竜宮城みたいでした。

同じくグレートバリアリーフにて。トロピカルトラウトとパチリ。

-オフはどのようにして過ごしているのですか?

オフは、外遊びを楽しんでいます。ビーチの近くで読書やボディボードをしたり、海にスキューバダイビングをしに行ったりしています。先週はテーブルトップという山を登山しました。パブで定期的に開催される、ビールを飲みながらのBeer Yogaをすることも。

公園でお昼を食べながら本を読んだりしています。

ハミルトン島というグレートバリアリーフにある島で山の上まで登った時の写真。絶景でした!

Beer Yogaの様子。瞑想の時に「ビールを頭に思い浮かべて…」と言われました(笑)。

-サステナブルな働き方のために大切にしていることは?

フルタイムの仕事をしながらENWの仕事をしているので、しっかり週2回、お休みがとれるように、仕事する日、休みの日を分けるようにしています。

週3回はやっているヨガで心身ともにすっきりさせるようにしています。そのおかげか「自分がコントロールできないことにはストレスを持たないようにしよう」と考えられるようになりました。

規則正しい生活も大切。夜12時までには寝て、8時までには起きるようにしています。

-今後の夢は?

根本的な環境問題の改善、解決によって、直接被害を受けている弱者(ストリートチルドレン。アフリカの小さな村の人たちなど)の力になれる仕事をしたいです。例を挙げるなら、電気のない地域に電気を届けたり、水のない地域に水を届けたり、サンゴ礁の育成で魚の生息地域の確保する、といった活動に自分が貢献できれば、と思っています。

また「日本は家庭を二の次にして働いている人が多い」と聞くので、仕事以外の自分の時間も大切にしながら働くオーストラリア人のライフスタイルを、日本人に広めたいです。(取材日2017/11/1)

経歴:

追手門学院大学経営学部経営学科卒業。在学中にインドとフィジーに留学し、環境問題が市民の日常生活に与える影響の大きさを目の当たりにし、衝撃を受ける。「何とかして状況を変えなければ」という強い衝動にかられ、大学院進学を決意。大学卒業後にオーストラリアに渡り The University of Queenslandで Master of Business in Sustainability(サステナブルビジネスに関するMBA)を専攻。MBA取得後、現在はクイーンズランドに店舗を構えるエンターテイメント型レストラン・バーで、マネージャーとしてフルタイムで働く。オフには日本語のチューター、環境ビジネスに関するリサーチャーの仕事もおこなっている。

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