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曽我 美穂さん Miho Soga
日々の生活をサステナブルに 仲間をつなぐエコライター
エコライター、エディター、翻訳者、そして英語講師として幅広く活躍する曽我美穂さん。エコネットワークスでは、仲間が集うコミュニティのお世話役も担っています。「好き!」と思ったことに軽やかに挑戦し、その過程で出会う人とのつながりを大切に育む姿勢が印象的です。2年目となる富山での暮らしについても聞きました。
ーエコネットワークス(ENW)とはどのように出会ったのですか? 曽我さんのお仕事についても教えてください。
ウェブサイトを見つけ、「サステナブルな働き方や社会の実現」に共感してメールをしたのが始まりです。私がこれまでやってきたのは、エコライターやエディター、翻訳者、英語講師としての仕事で、なかでも一番長いのが、エコ関係の記事執筆と編集です。ENWの他には、「All About」のエコ家事ガイドをしたり、「IDEAS FOR GOOD」や「ソトコト」でコラムを書いたりしています。
ーENWではどんなお仕事がありますか?
クライアントのオウンドメディアに編集者として関わり、SDGsに関する記事を作っています。他にも非営利団体の記事執筆など、コンテンツづくりの仕事が中心です。どれも大勢に向けた記事ですので、感想をいただくことは少ないのですが、それでもページビュー数が多かったりするとうれしいですね。生活を少しだけサステナブルに変えるアクションを、押し付けがましくなく提案できたらと思っています。
ーもうひとつ、TSA(Team Sustainability in Action)のお世話役もしていますよね。
そうなんです。TSAは、ENWに関わるパートナーが集うプラットフォームで、「サステナブルな働き方や暮らし方を志向する個人が集う、学びと実践の広場」と定義しています。
ここ数年で取り組みが増えました。サステナブルな実践を皆さんと共有する「シェア会」や、本の貸し借りをする「本棚」、役目を終えたモノを必要とする人に譲る「あげますシステム」、コンポスト部や食部といった「部活」などがあります。
私がお世話役をするようになったのは「ENWに関わる皆さんのことをもっと知りたい」と言ったのが始まりでした。やってよかったです。なんといっても、サステナビリティを大切にしながら暮らす仲間が増えましたから。住んでいる場所は遠くても、思いはつながっているなと感じるんです。
ー刺激になる仲間ですよね。
皆さん、暮らしをサステナブルにしつつ仕事も全力投球で、いつも刺激を受けています。ENWに関わる人はプロ意識がすごく強いと思うんです。たったひとつの単語についてすごく調べ上げたり、いつも真剣勝負だなって。
一方で、「タンブラー持参でコーヒーを買えるコンビニチェーンはどこか」なんて話をしたり、子どもの個性をどう捉えるかを考える勉強会をしたり。互いにおすすめする本も、どれも心に響きます。サステナビリティという志向を大まかに共有する間柄だからできる話題があって、皆さんとつながって得られたものは、とても多いです。
もっとも、決まった形がないコミュニティなので、大変なこともあります。考えることが次から次へと起きたり……。実は先日、「私がTSAのお世話役をしている意味ってなんだろう?」とあらためて考えていたんです。そんなときに「編集者はコミュニティのまとめ役に合っている」と書かれた本に出会って、ライター・編集者である私としては、腑に落ちました。思えば、エコライターとして独立した頃からの仕事仲間も、私のことをまさに編集者だと言うんですよね。みんなの声を聞いて実現に向けた道筋を立てる過程が「編集」だと。
ーなるほど。これまでどういうお仕事をしてきたのですか?
大学卒業後はテレビの制作会社に入ったんです。大学時代に1年間、ニュージーランドの大学に交換留学してマオリ学部で学んだので、先住民族の素晴らしさを映像で伝えたいと思っていて。ただ、働き方に課題を感じて、英語学校の広報に転職しました。そこで気づいたのが、自分は文章を書いたりパンフレットを作ったりするのが好きだということ。それで、ライターや編集者になりたいと思ったんですね。在職中に「スローメディアワークス」という会社を仲間と作り、初めは副業としてエコライターの仕事を始めました。実は就職活動中、OBに「テレビより編集者が合うのでは?」と言われていたんです。当時はわからなかったですが、いろんなマスコミの方とお仕事するなかで、自分は編集者・ライターが合っていると実感しています。
ー環境問題には以前から関心があったのですか?
そうですね、家族が自然好きで、小さい頃からアウトドア派だったので、自然への興味が強かったです。父も環境系の仕事をしていて、影響がありました。また、なにより祖父が、近くの公園で腐葉土を作るなど、環境活動をする人だったんです。出身地の福島と二拠点居住をしたりと、おもしろい人で。自然を大切にする行動を祖父から学びました。
ーライターと環境問題、2つの関心が合わさって、今のお仕事につながったのですね。曽我さんは、英語教室もしているんですよね?
はい。子どもが生まれてママ友と話すようになり、英語教育への関心の高さを知ったんです。ただ、気軽に英語に触れられる場がないなとも感じていて。ちょうどリクエストをもらったのもあって、子どもたちが楽しく英語に出会える場を作れたら、と。私、合唱部出身で歌が好きなんです。英語の歌を教えるのはできるなと思って(笑)
2年目からは、ネイティブの先生にお願いして、月1回ほど、一緒に教えてもらうようになりました。その先生のおすすめ教材やYoutubeなどを取り入れていったら、クラスでの子どもたちの反応がどんどん良くなり、最終的には週に10クラスほどまで増えました。
ーそれが栃木に住んでいたときですね。その後、富山へ?
はい、夫の転勤で富山に移ることになり、英語教室もお引越ししました。そのタイミングで子どもに言われたんですよね。「お母さん、夕方にそんなにレッスンしないでくれる? 寂しかったんだよね」って。きっと子どもなりに気を遣っていたんですね、寂しいときには言わず後から言うものなんだなと……。今はレッスン数を限定し、子どもと大人を対象とした個人レッスンを中心に行なっています。
ー富山ぐらし、どうですか?
すごくいいです。自然が豊かで海も山も近く、食べ物が美味しくて。市内のどこからでも立山連峰が見えるんですよ。日々の生活で良い景色を見られるのは、こんなにも心のあり方に影響を与えるのですね。
最近、山登りをはじめました。すごく久しぶりだったんですけど、いいですね。あと、子どもたちと釣りをしたりも。それから、中1から社会人までやっていたフルートを再開して、レッスンに通っています。栃木にいたときに始めたテニスや、10年以上やっているヨガも続けて、暮らしも仕事も楽しみたいです。
ーこれからやってみたいことを教えてください。
今の働き方を続けていけたらなと思っています。英語講師とライティング・編集の両方をやるのは、すごく良いバランスです。英語講師の仕事では、地域の人と知り合える楽しみがあります。エコライターとしては「これなら自分にもできそうかな」と思ってもらえるようなサステナブルな暮らし方を提案していきたいと思っています。
TSAのお世話役もおもしろいですね。もっと盛り上げていきたいと思っていますが、理想は焚き火とか薪ストーブのイメージなんです。一気に燃え上がるのではなく、じんわりと温めて、みんなが楽しそうに囲む感じを作れたらな、と。お世話役を持ち回り制にする仕組みも考えたいです。あと、今後、先住民族と呼ばれる方々の文化について発信していきたくて。
ー先住民族の文化ですか?
なぜかずっと心惹かれてきたんです。幼稚園児の頃に、紙芝居に出ていた先住民族を「かっこいい!」と思ったのが最初なんですけど。大学時代に留学したマオリ学部では、授業では飽き足らず、マオリの歌と踊りのサークルにまで入って。あまりの熱意だったからなのか、帰国直前には学部から「マオリ特別賞」をいただいたほどです。その後、アイヌのご家庭でホームステイをしながら農業を手伝わせていただいた経験もあります。
先住民族と呼ばれる方々は、長きに渡って環境と調和した暮らしをされてきました。神様や自然を表現したアートに心打たれますし、歌や踊りも素晴らしいです。やっぱり私はその素晴らしさを伝えたいと、最近あらためて思うようになったんです。まずは自分で発信していこうと、最近noteを始めました。夢は、先住民族に伝わる話から環境問題に通ずるようなものを集めて絵本を作ること。いつか実現したいと思っています。(取材日2020/11/30)
経歴:子どもの頃から環境に関心を持ち続け、英語学校の広報を勤めるかたわらライター活動をスタートし、2008年にエコライター・エディター・翻訳者として独立。環境に関する雑誌やウェブサイトでの取材、執筆、翻訳などを行っている。また、2013年から英語教室RAINBOWも運営している。