人権おしゃべり会「企業とNGOの対話・エンゲージメントの現在地」を開催

2026 / 3 / 16 | カテゴリー: | 執筆者:宮原 桃子 Momoko Miyahara

お茶会のようなカジュアルな雰囲気で、人権に関するテーマについておしゃべりする「SCHR会(ス茶会)×ENW」。3月は「企業とNGOの対話・エンゲージメントの現在地」というテーマで開催しました。

人権リスクの予防や低減に向けた取り組みの土台となる、ライツホルダーとのエンゲージメント。しかし、企業の強制労働リスクへの取り組みを評価する「2026年版食品・飲料セクターベンチマーク報告書」(KnowTheChain)によると、ライツホルダーや市民社会と直接エンゲージメントを実施した事例を開示している企業は、5社に1社に過ぎないことが指摘されています。

本セッションでは、「ビジネスと人権センター」日本リサーチャー&代表の小園杏珠さんをゲストに迎えながら、参加者の皆さんと共に、より良いエンゲージメントに向けた企業とNGOのあり方やポイントについて議論しました(以下、一部)。

  • ・社内でエンゲージメントの意義・必要性をなかなか理解してもらえないという声をよく耳にする。特に人権は、企業にとってできていないことに目を向けねばならないというネガティブな要素が強いので、ハードルが高いと感じられがち。
  • ・ステークホルダーエンゲージメントは、ビジネスと人権の中で示されていることだから取り組むというのではなく、まず企業はNGOや様々なライツホルダーとのエンゲージメントを通じて何を目指すのか(何のためにやるのか)、どう活かしたいのか、何を学びたいのかを明確にすることが重要。人権リスクに関してある程度の仮説を立てた上で、それが正しいかを確認するためにライツホルダーとエンゲージメントを行う必要がある。
  • ・NGO側にとっても、企業がそのエンゲージメントをどう活かしたいのかという目指す方向性・方針を示してくれると、より有意義なエンゲージメントができる。
  • ・実際にエンゲージメントを重ね、それが企業の方針や仕組みに反映されていくと、社内での理解も広がっていく。
  • ・対話は「相手を知る」ことが第一歩。対話に入る前に、相手がどのような主張・活動をしている組織であるかを把握することも大切。様々なNGOのイベントやレクチャーに参加したり、レポートやニュースレターを確認したりするなどの方法がある。
  • ・社外ステークホルダーとの対話以前に、労働組合や非正規社員など社内ステークホルダーと対話が十分にできていないケースもある。社内もエンゲージメントの対象であることや、社内の労働安全衛生が人権の取り組みだという認識などを改めて捉える必要がある。
  • ・NGOのアプローチと役割は、外圧・プレッシャーによって変革を促すことと、企業に寄り添いながら伴走することの両方がある。警戒感を抱く企業とNGOとのエンゲージメントがスムーズにいく上では後者も必要。
  • ・NGOによって様々な役割がある。企業に対して厳しくジャッジを行う組織もあれば、中立的な立場を保つことで企業からフィードバックを得て、信頼関係を築きながら改善に取り組む組織もある。様々なNGOがそれぞれの役割を担いながら進めている。
  • ・企業にとっては公式な対話・交渉の場にするとハードルがかなり上がることもあり、まずはインフォーマルな場で意見交換するといった手法もある。
  • ・若者支援を行うあるNPOでは、同団体を支援する様々な大手企業が参加できるプログラムを定期的に開催し、企業と「共に課題に取り組んでいく」という雰囲気・関係性を作っていた。そうしたアプローチも有用ではないか。
  • ・ドイツの高校では、NGOについて評価されている点・されていない点などをリサーチ・発表する授業があり、NGOの活動や認証マークなどへの理解が深まった。次世代の教育へのアプローチも、社会全体でエンゲージメントの土壌を作る上でカギの一つ。

人権への取り組みを実効性の高いものにしていくために、より実りのあるエンゲージメントを行うことの重要性や、そこに向けて企業とNGOがどうあるべきか、様々なヒントが得られるセッションになりました。

★次回開催は4月17日(金)11時30分~12時、テーマは「『ビジネスと人権』から考える平和」です。詳細・お申し込みはこちらのページからお願いします。

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