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2023年ENWの集い開催 多様な個が安心して輝ける未来を共に探る
2023年12月7日、エコネットワークス(ENW)の集いが開催されました。
執筆:山本 香
愛知県在住の翻訳者。ENWでは、主にサステナビリティ関連の翻訳業務のほか、コーディネーション/マネジメント業務も担当。
リモートワークを基本とするENWにとって、この集いは仲間と直接交流できる大切な場です。コロナ禍を経て久しぶりに開催された前回の集いでその大切さを再確認したこともあり、今回はパートナーに広く呼びかけて、交流を深めることを目的に企画しました。
メインイベントは、東京・浜松町にある「ミュージアム 対話の森」で開催されているワークショップ「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」への参加。初めましてのパートナーも含む10名が集まり、ワークショップやその後の昼食会&ディスカッションを通じてお互いをより深く知る機会となりました。
※パートナー:ENWの業務で関わりのある方。雇用契約者、業務委託契約者の両方を含む。
仲間を頼り、助け合って進む暗闇体験
今回参加したDIDは、完全に光が遮断された「純度100%の暗闇」の中、視覚に障害のある方のアテンドのもと、チームで様々なシーンを訪れ、人と人とのかかわりや対話の大切さを学ぶプログラムです。早速5名ずつのチームに分かれると、それぞれが期待と不安を抱えながら暗闇の中へと出発しました。

体験の前に注意事項などの説明を聞く参加者たち
完全な暗闇で頼りになるのは、視覚障害のある方が日常的に使う「白杖」と、仲間とのコミュニケーションのみ。まずはお互いの呼び名を決めて、チームメンバー同士が手や肩などどこかが触れ合った状態でゆっくりと進んでいきます。「ここから地面がやわらかくなるよ」、「右手がひんやりした壁に触れている」、「ここに二人くらい座れそうな椅子がある」。一人ひとりが視覚以外の感覚を研ぎ澄まして得た情報を積極的に伝え合います。途中、しゃがみこんでボール遊びをしたり、テーブルセットが置かれたスペースでお菓子やジュースを頬張りながらクリスマスパーティーやハンドベル演奏(!)をしたり、様々なシーンにおける対話を楽しみました。約1時間の体験は、過ぎてみればあっという間。光の中に戻りふわふわした感覚の中、チームごとに体験を振り返り、感想を共有しました。

光に目を慣らしながら、暗闇での体験を振り返りました
DIDでの学びを振り返る まずは「対話」から

お互いの近況報告をしながら、おいしい料理をいただきました
DID体験後は、隣の施設にあるレストランに移動し昼食会へ。
おいしい食事をいただいた後、グループに分かれDID体験を踏まえたディスカッションを行いました。
ディスカッションのテーマとして、「DIDでの学びをどう活かすか」と「ENWでどのようにすれば障害のある人と一緒に働けるか」の2つを設定。まずは、それぞれアイデアをポストイットに書き、紙に貼っていきます。
最初のテーマ「DIDでの学びをどう活かすか」では、「街などで障害のある方が困っているのを見かけたら積極的に声をかける」、「想像力を働かせて相手の立場で考える」、「ユニバーサルデザインなどへの関心を高める」といった意見が出ました。

和やかな雰囲気で意見を出し合いました
見ず知らずの人や仕事仲間に対して、声をかけたり手を貸すことを躊躇してしまったという経験がある方は多いのではないでしょうか。それでも、思い切ってやってみることで、障害の有無を超えて幅広く困りごとを率直に伝え合い、お互いを知るための対話が始まります。まずは、積極的に相手を理解しようとすることが大切だと多くの人が感じたようです。
もう1つのテーマ「どのようにすれば障害のある人と一緒に働けるか」については、「テクノロジーやツールを活用して特性を活かせる労働環境や各種制度を整える」、「ENWのコミュニティ事業であるTSAにお誘いしてみる」といった具体的なアイデアも提案されました。
また、「障害のある人と働くことがゴールではない気も・・・・・・」という意見は、もしかしたらテーマ設定そのものに障害のある人を無意識に特別視する前提があったのかも、と考えるきっかけになりました。障害のある方の雇用の場が十分に整備されていない現状を変えていくためにENWとしてできることを考えると同時に、障害の有無にかかわらず、様々な特性を持った人びとが安心してそれぞれの強みを活かせる職場環境を整えるにはどうしたらよいか、という視点でも話し合えました。

参加者から寄せられた様々なアイデア
今回の集いでは、1年ぶりにリアルで交流し、さらにDIDでの体験を共有でき、共に働く仲間をより深く理解して距離を縮めることができました。終了後のアンケートには、「楽しかったので、集いの回数を増やせるといい」といった声も寄せられました。
実践につなげていくために
12月27日には、オンラインでフォローアップミーティングを開催し、集い当日を振り返って改めて感想を共有した後、今回得た学びを活かしてENWとしてできることの具体案を出し合いました。
その第一歩として、まず多様な働き方や特性にオープンで、働きやすい環境を共につくっていくというENWのスタンスを、次のような形で実践・発信することを考えています。
●ワークポリシーに明記する
●一人ひとりの「強み」や「できること」に目を向けて、ポジティブな事例を発信する
●体験談を発信する(例:病気による休職から復帰したパートナーの体験談を共有、ENWの寄付先などの活動に実際に参加し、そこでの学びをレポートするなど)
また、様々な特性を持つ個が安心していきいきと働ける組織づくりのプロセスとして、以下を進めていきます。
●パートナーが相互に働きかけられる場を頻繁に設けることで、苦手なことも含めて、お互いに理解し、助け合える関係を育てる
●主にTSAの活動を通して、様々な特性を持つ人びとと接点を持つ機会をつくったり、パートナー間で各自の経験をシェアしたりする
一人ひとりが今回の経験をこれで終わりにせず、ENWという組織全体に、ひいてはより広く社会に広げていきたいと考え、実践につなげていこうとする姿勢は、ENWのパートナーの一人として私自身も誇りに感じる点であり、それこそが私たちの「強み」だと考えます。
ENWはこれからも、対話を通じて様々な人びとと信頼関係を育みながら、誰もが安心して力を発揮できる社会の実現に向けて実践を重ねていきます。
Photos by Miho Soga & Chiaki Iwamura
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