新型コロナ対策ファンド 子ども手当の実施

2020 / 7 / 1 | カテゴリー: | 執筆者:EcoNetworks

エコネットワークス(ENW)では4月~5月にかけて、2月に公表した新型コロナウイルス感染症に関する対応についての支援策の資金から子ども手当を実施しました。

パートナーの皆さまへ4月22日にメールで申請をお願いし、4月末と5月末に振込となるよう手続きを進めた結果、合計で54名のお子さんをサポートすることができました。

背景と考え方
4月当時、世界の39億人超が外出制限下にあり、日本では4月7日に7都道府県を対象に緊急事態宣言が出され、16日にはその対象が全国に広げられる中、3月からずっと学校は休校、幼稚園や保育所は登園自粛となっていました。その期間中、ご家族がお子さんの安全を第一に考え、ご自宅で一緒に過ごしている様子がうかがえました。

子どもたちの命と健康を守るための対応ですが、その一方で、子どもたちの権利である「成長にとって大切な学ぶ機会、遊ぶ機会」が損なわれているというのは、社会的な課題であり、将来世代である子どもたちの健全な成長を支援したいとの思いから実施を決定しました。

パートナーの皆さんにお知らせしたのは、以下の通りです。

子ども手当の内容
対象: 過去3年程度の中でENWから業務を依頼した方

ただし、有識者やアンケート回答者など当社の方向性についての共有がなされていない方を除きます。フリーランス、個人で会社を設立している方、会社雇用など現在の働き方の形態は問いません。また、国内、海外在住など、居住地は問いません。

金額: 同居の18歳以下のお子さん一人当たり2万円

※給食がない状況での食費軽減のため、安心して子どもたちが家庭で過ごせるように、またその時間を充実したものにするための補助費用として

申請方法:お手数ですが、お子さんの人数を下記のどちらかの方法でお知らせください。

1. フォームに記入
2. メールにてENWまで連絡

振込時期:4月24日(金)までにご連絡いただいた場合:4月30日に振込
5月8日(金)までにご連絡いただいた場合:5月29日に振込

●パートナーから寄せられたメッセージ

今回の実施に当たり、たくさんのメッセージが寄せられ、そのやり取りの中で多くの気づきがありました。

・「子どもの学ぶ機会・権利」の重要性

休校も2カ月近くになり、まだしばらくこの状態が続くと思うと、自宅での学びをどうサポートしていけばいいのか、正直不安でいっぱいです。このままではよくない、だけど、じっくり付き合う物理的・精神的な余裕もないという中で、このような手当を実施していただけるはとてもありがたく、少し落ち着いてできることを考えてみようという気持ちになれました。本当にありがとうございます。(日本)

今回のような前例のない緊急事態においても、「今できること」を考えてそれをスピーディに実施する姿勢は本当に素晴らしいと思います(日本政府にもこのスピード感が欲しいです・・・)。休校中の子どもたちに親が勉強を教えざるをえない状況にあり、これが大変で鬱々としていましたが、力をいただいたような気がします。気持ちを新たにしてがんばります!(日本)

Thank you for the generous offer of support at this time. I would like to use some of this funding to buy books and educational games to support my children’s education while the schools are closed. I am hoping to teach them some Japanese!(スコットランド)

こういった世界規模の危機に、子ども手当というサポートのお知らせと、気にかけてくださるメッセージをいただいたことに本当にお礼申し上げます。精神的に大変なときの心の支えになりました。仕事としての顔、家族としての顔、どちらも包み込んでサポートを考えてくださったことに、感謝しています。(ドイツ)

学ぶ機会が失われることはかなり切実で、今は命を守る方が大切なので大きな問題として扱われてはいませんが、社会問題として取り上げられるべき重要性を持っています。

日本の私立の小学校や大学、海外では、授業を映像で配信したり、オンライン授業も実施された例もありましたが、その環境を整えるにも時間や費用がかかります。そしてそのような環境がない場合は、学校から休校中の課題が渡され、小学校の低学年の場合は特に、とてもひとりで教科書を読んで進められる内容ではなく親が教えざるをえないため、毎日かなりの時間を割く必要がありました。仕事もしながらだと親の負担は相当なものでした。

・組織として「スローダウン」を打ち出すことも大事

多くの従業員やパートナーがさまざまな不安を抱えている中、2月という早い時点で支援策を表明してくださったことは、あらゆる視点で会社としてスタッフを守ることが伝わり、きっと多くの人が安心したと思います。
また、従業員向けだけでなく、取引先に対してもある程度スローダウンせざるを得ないことを表明されたこと、これはとても大きいと思います。多くの友人たちは、子どもを危険にさらして保育園に登園させ続けることに葛藤を抱えながらも、仕事を優先せざるを得ずに通わせているケースが大半でした。
仮に金銭的な補償があったとしても、仕事は山積み…それでは、結局仕事は休めない。だからこそ、企業が社員・家族を守るために、企業としてスローダウンを受け入れるという方針を発しない限り、小さな子どもたちだけが危険にさらされてしまう難しい問題だと感じていました。
企業としては、取引先からの信頼や依頼に誠実に応えつつも、従業員のためにスローダウンも受け入れるというのは、とても難しいバランスの判断だと思いますが、サステナビリティに取り組むENWだからこそ体現できているように感じています。(日本)

2月からだんだんと感染拡大が深刻化する中、自分たちだけでは対処しきれない場合が出てくると、4月にクライアントさまにもご協力をお願いしました。すると、対面での打ち合わせや取材をオンラインに切り替えたり、納期に追加のご猶予をいただいたりと、私たちのお願いを前向けに受け入れてくださり、心より感謝しています。

クライアントさまもテレワークが基本となった組織が多く、業務のオンライン化が一気に進んだことは、双方にとっても良い変化だと感じています。
スケジュールについては、部分的な調整ではなく、クライアントさまも含めて全体で調整が実現したことで、プロジェクトの強靭性(レジリエンス)が高まりました。この経験は、たとえ第二波の感染拡大があっても対処する方法があるという力につながると考えます。

・他者への思いやり・連帯の気持ち

子ども手当のお知らせをありがとうございました。このようにフリーランスに手厚い企業は珍しく、さすがENWだなぁ、と感心しながら読ませていただきました。
私たちは義両親の実家で暮らしておりますし、幸いにも細々ではありますがお仕事も続けられています。子どもはもともと3食家で食べていますしデジタル機器を買い増す必要もありません。
ですので、お申し出は大変ありがたいのですが、ENW、パートナーの方々および本当に支援が必要な方々のために使っていただければ幸いです。フリーランスを気遣って下さる、そのお気持ちだけで十分です :)(フランス)

お気持ちはとってもありがたいのですが、辞退させてください。周りの仕事仲間から『暇』と言う声が聞こえてきています。しかし、たまたま今年の3月も4月も例年より依頼が多くて、忙しい日々を送っています。
国からの10万円も自分の分を拒否して子供の分だけ申請しようと思っていましたが、政治家同様、自分の分もいただいて消費しようと考え始めました。
給食がなくなって、仕事を失った人、何かしらと困っている家庭が多いですよね。私は助けをいただくより、助けをすべき側にいるのではないかと思っています。東京にあるセカンドハーベストというNPOに寄付しています。
ENWがパートナーを大切にしていることは素晴らしいですし、手当のアイディアも素晴らしいと思います。私より助けが必要な方にぜひ使ってください。(日本)

対象者の中には、「自分よりももっと困っている方々のために使ってほしい」、「困窮者を支援している団体に私の分を寄付してほしい」と辞退される方もありました。今回のコロナ禍ではだれもが困難を抱えて過ごしているはずです。そのような状況でも助けが必要な誰かへの思いやりを持って行動するパートナーの姿に、私たちも勇気づけられました。

・その他の重要な課題

また、子育て世帯への金銭的支援に関連して、そのほかにも重要な課題があることを懸念するパートナーの意見もありました。

今回の手当ては18歳以下の子育て世帯が対象になりましたが、今後大学生が学費を支払えなくなる問題が顕在化してくると思われます。ENWにはそこまで大きなお子さんがいるメンバーはいないかもしれませんが、例えば奨学金団体への寄付といった形で、この問題にENWも間接的に貢献できる余地はあると思われます。(日本)

生活費を自分で工面しながら大学に通っている学生も多く、政府の学生支援緊急給付金や授業料減免だけでは十分ではないはずです。今後の課題として検討していきます。

●最後に

ワクチンの開発と医療体制全般の強化が待たれる中、正しく恐れながら暮らしていく必要があります。それでも朝には、マスクをして登校する子どもたちの姿が見られるようになりました。パートナーのお子さんたちもそれぞれ学校や保育園などに通い始めたとお聞きしています。彼らの日常は少なからず質が変わり、戸惑うこともあるかと思います。そんな時には周りの大人や社会のサポートを受けて、健やかに成長してくださるよう願っています。

 

 

 

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