グローバル推進体制に欠かせない「本社・拠点間の効果的なコミュニケーション」

2026 / 9 / 29 | カテゴリ: | 執筆者:宮原 桃子 Momoko Miyahara

サステナビリティ領域はグローバル全社で取り組むべき課題が多く、本社および国内外拠点の連携が欠かせません。効果的な取り組みや情報開示対応などを進めるためには、どのようなコミュニケーションや仕組み・体制が必要なのでしょうか。

9月に開催した「サステナおしゃべり会」では、メーカーの日本本社サステナビリティ推進部門を経て、欧州統括拠点でコーポレートサステナビリティに関する情報開示の事務局を担当するゲストをお迎えし、課題や効果的なアプローチなどについて意見交換をしました。

先行する規制動向 的確な対応をするために

欧州では、気候変動やサーキュラーエコノミー、人権に関する法規制、CSRD/CSDDDなどの情報開示基準など、サステナビリティ領域で世界を先行する動きが活発です。欧州拠点には、こうした先行基準・規制への対応や、そこで得られる知見を踏まえた全社戦略・取り組みへのインプットといった役割が求められます。

ただ、CSRD/CSDDDがそうであるように、当初はより厳しい規制に向けて進められていても、その後の経済・社会情勢の変化や産業界からの要請などによって、内容が大幅に見直されるケースも多々あります。変化の激しい状況の中で的確な対応をしていくためには、次のようなことがポイントになるとゲストは語りました。

  • ・EUでは、法律改正のプロセスが複雑で決定まで長い時間を要する。こうした中で担当者としては、どういう着地点になるかを予測しながら、タイムリーに本社に共有することが欠かせない。
  • ・他方で、たとえ法規制に様々な変更があったとしても、規制を通じてEU域内の産業を豊かにしようというEUの基本方針や、 サステナビリティに関する取り組みについて大きな方向性は変わっていない。こうした核を押さえながら、その動きを読むことも重要。
  • ・現地の日系企業や業界のコンソーシアムなどに参加しながら、組織を超えて情報収集・意見交換を行うことも有益。

海外拠点に求める役割を明確に 方針とコミュニケーション

海外の法規制が先行しているケースは多々あり、日本国内との温度感や危機感の差はどうしても生じてしまいます。定例会議や月報、データベースなどを通じて最新情勢や課題、ベストプラクティスなどを共有する仕組みに加えて、担当者同士がタイムリーに状況を共有する個別のコミュニケーションが欠かせないとゲストは強調しました。

また、「本社からどのような役割を期待されているか、わからなくなる時がある」という声が、様々な企業の海外拠点から聞こえてくるそうです。日本本社サイドが、海外拠点に期待する役割や規制動向に対する方針を明確に共有することで、より効果的な動きにつなげていくことができそうです。

お互いのベクトルを合わせるための地道な下地固め

また、国によって文化や考え方が異なる中で、「会議や訪問一つひとつにおいて、その目的やスタンスを事前に丁寧に共有して進めることが、良いアウトプットにつながる」という大事なポイントも共有されました。例えば、日本本社サイドは現状把握と課題解決の支援を目的に現地を訪問しても、現地は監査と受け止め、本音を語らない・ネガティブな要素を開示しないなどの反応になってしまうケースもあります。一つのベクトルに調整していくための、地道な下準備・下地固めがカギを握りそうです。

今回の会には、日系企業の海外拠点担当者や外資系企業の日本法人担当者などが参加し、共通の課題感や工夫などが共有される中で、本社や海外各拠点間の連携をもっと強化したいといった声も聞かれました。

現在、多くの日本企業でSSBJ対応に向けた準備が進められる中、グローバルでの方針・ガイドライン共有、各拠点におけるデータやベストプラクティス事例などの情報を収集する仕組み、社内啓発などが一層求められています。こうした中、本社・拠点間での効果的なコミュニケーションや連携の仕組みがますます重要になっていくでしょう。


次回のサステナおしゃべり会は、10月28日(水)16時~、テーマは「若手社員の視点・アイデアを、効果的な取り組みにつなげるには」です。大手小売企業の脱炭素関連部門に所属しながら、日本若者協議会や地域の脱炭素市民フォーラムなどで精力的に活動するゲストを迎えます。社内での若手有志による取り組みなども伺いながら、参加者の皆さんとざっくばらんに意見交換できればと思います。
詳細・お申し込みはこちらから。

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