ストップ・ジェノサイド 従業員からの声に企業はどう応える

2025 / 11 / 10 | カテゴリ: | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

停戦合意から1ヵ月経ってもなお続く、イスラエルによるガザ攻撃。復興に向けた道のりは依然として不透明であり、一刻も早い停戦と支援が望まれます。

2023年から始まったこの侵攻では、多くの企業がビジネスと人権の観点から対応を迫られました。日本企業では、例えば日立建機ファナックが、製品がガザへの攻撃に利用されているとして抗議行動に直面しました。バリューチェーンの下流における自社製品の意図しない軍事利用に対する対応が問われました。

市民社会によるこうしたイスラエルへの抗議行動は、ボイコット(不買運動)・ダイベストメント(投資撤退)・サンクション(制裁)それぞれの頭文字を取ってBDSと呼ばれます。米国ではBDSの対象リストに名前が挙がった企業の製品を見分けるアプリを使用し、買い物を通じて意思表示をするといった市民の動きもあります。

社内からの声にどう応える

こうした抗議の声は、社外だけでなく、社内からも寄せられています。マイクロソフトは2025年9月、イスラエルの軍事機関によるクラウドコンピューティングサービスAzureへのアクセスを遮断したと発表しました。直接のきっかけは、英ガーディアン紙などによる調査報道により、製品がガザ市民の大量監視に使われていることが指摘され、社内調査の結果、事実であると確認されたことです。

この間、同社は抗議行動にさらされ、一部の従業員もその活動に加わりました。中には、カンファレンスでのCEOのスピーチの妨害や、CEO室に侵入しての抗議活動といった直接行動に出る人々もいました。こうした行動に対して同社は、「表現の自由は尊重する。ただし合法的な範囲内に限る」として、参加した従業員の解雇に踏み切っています。

なおマイクロソフトはその後、従業員が声を上げるための内部通報の新たな仕組みを立ち上げ、積極的に活用するよう呼びかけています。

その他にも、社会課題への積極的な取り組みで知られる米アイスクリームチェーンのベン&ジェリーズでは、共同創業者の1人が辞任を表明しました。イスラエルへの対応を巡る、親会社ユニリーバとの対立が原因です。

従業員による抗議活動は日本でも

京都市の「ホテルマテリアル」の元支配人は、国際法違反であるガザ侵攻に加担することになるとして、イスラエル軍関係者とみられる予約客の宿泊を拒否しました。京都市は国籍などを理由とした宿泊拒否は旅館業法に違反するとして行政指導を実施。運営会社のルークスは、「個人の信条を優先させることなく業務にあたる」とする誓約書への同意を求め、拒否した元支配人を解雇しました。元支配人は運営会社を提訴し、解雇の無効を争っています。

この事例には従業員としての人権、宿泊客の人権など様々な論点がありますが、ビジネスと人権において企業は、国際的な人権規範と国内法との間に差が見られる場合には、より高い基準に従うことが求められます。イスラエルによるガザ侵攻を巡っては、南アフリカが国際司法裁判所に提訴し、2024年にはジェノサイドを防ぐ措置を取ることを命じる暫定措置を発出しました。現在はコロンビアやトルコ、ブラジルといった国々が訴訟への共同参加の意向を示し、審議が続いています。

ガザの人々の命と人権を守りたいという従業員からの声にどのように応えるか。企業としての姿勢が問われています。

 


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(Thumbnail photo by MasterTux via Pixabay)

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