「グリーンウォッシュ」規制 日本の先行きは?(前編)

2025 / 7 / 29 | カテゴリ: | 執筆者:宮原 桃子 Momoko Miyahara

(Illustration by Vividz Foto via AdobeStock)

近年、多くの企業が、環境保全に関する取り組みや商品・サービスについて発信を行っています。これらは「環境主張」*と呼ばれ、その際に注意しなければならないのが「グリーンウォッシュ」です。実態が伴わないにも関わらず、環境に配慮しているように見せかける表現や手法を指し、表示規制の対象となります。

* 組織が環境に配慮していることを自ら宣言すること

欧州で進む規制強化

欧州では今、環境表示規制の強化が進んでいます。その一つとして、企業と消費者間の取引における不公正な商行為を規制するEUの「不公正取引方法指令(UCPD)」の改正が、2026年9月から適用される予定です。これにより、「環境にやさしい」「エコ」「グリーン」などの実証できない一般的で曖昧な環境表示や、適切な実施計画を伴わない将来の環境パフォーマンス(環境目標など)の表示は、消費者の誤認を生じさせる行為(誤認惹起行為)として規制の対象となります。また、2027年からの適用に向け議論が進む「グリーンクレーム指令案」では、環境表示を公表する前に第三者機関の証明書取得を求めることが検討されています。

「2050年カーボンニュートラル」で敗訴

(Photo by FAMILY STOCK via AdobeStock)

こうした動きの中、欧州をはじめグローバルでは訴訟事例が増加しています。欧州の消費財メーカーは、ウェブサイトに掲載した「2050年カーボンニュートラル目標に関する主張」について環境NGOから提訴を受け、敗訴しました。同社の目標に関する表示が、「自社によるCO₂排出量削減のみによって達成され、CO₂オフセット手段(CO₂証書の購入など)を用いないという誤った印象を与える」というのが主な理由です。ウェブサイトには、目標に関する詳細情報としてサステナビリティ報告書へのリンクは張られていたものの、当該ウェブサイト上では明確に内容が記載されていないと判断されました。

SBTネットゼロ目標に認定されている目標であっても、その表示が誤認を生じさせるものであれば、グリーンウォッシュに該当するという事例で、差し止めに違反すれば最高25万ユーロの罰金、または、最高責任者に対して最長6ヵ月の禁固刑という厳しい内容でした。

日本の課題「網羅的でない」「強制力がない」 今後強化へ

他方、日本の現状はどうでしょうか。環境表示に関連する法規制としては、優良誤認表示などを規制する「景品表示法」が挙げられます。同法は、商品・サービスを対象としており、これに加えてアディダス社の事例のような企業目標なども対象となるかは明らかではありません。一方、環境省の「環境表示ガイドライン」は、商品・サービスに直接的に関係のない環境表示(事業活動、イメージ広告、企業姿勢など)も対象としていますが、法的拘束力はありません。このように日本では、グリーンウォッシュに対応するための明確な制度がないという課題があります。

グローバルでの規制強化の潮流を受け、環境省は2026年3月に「環境表示ガイドライン」を13年ぶりに改訂する予定です。環境表示に対する根拠をより厳しく求めるなど厳格化するものと見られますが、依然として強制力のないガイドラインのままです。

グリーンウォッシュ規制において後れを取る日本は、今後どのようなことが求められていくでしょうか。後編では、この分野で精力的に活動するNPO「気候ネットワーク」代表であり、弁護士の浅岡美恵さんにお話を伺います。ぜひご覧ください。

続きはこちら:「グリーンウォッシュ規制 日本の先行きは?(後編)

宮原桃子  コンテンツプロジェクトマネージャー/ライター)

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