Sustainability Frontline サステナビリティをカタチに
変化するCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)の役割
(Photo by Michal Jarmoluk via Pixabay)
日本国内において経営におけるサステナビリティの重要性が社会の合意事項として明示的に位置付けられるにようになって数年。コーポレートガバナンスコードにおいてサステナビリティの考慮の重要性が示され、有価証券報告書におけるサステナビリティ関連情報の開示が義務付けられたことで、企業における対応も進んできました。
その象徴的な動きとして、サステナビリティに関する専門委員会を設置する企業はプライム上場企業で約60%、執行の最高責任者としてCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)などを任命する企業は約36%、という調査結果もあります(2022年実施、回答社数510社、日本監査役協会による調査)。
サステナビリティを統括するCSOの任命は近年の世界的なトレンドと言え、2021年に世界で新たに誕生したCSOの人数は、過去5年の累計よりも多いという報告もあります。
変化するCSOの役割
一方で同じCSOという肩書きでも、実際にCSOが担う役割や管掌する業務は各社によって多様です。また社会の変化に伴い、CSOに期待される役割も変わってきています。
ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の記事では、以前は自社のサステナビリティに関する取り組みを社外に訴求することがCSOの主な役割だったところ、現在ではESGの経営戦略への統合へとその役割が変化しており、それに伴い経営チームや事業部門との連携、投資家をはじめとする社外の重要なステークホルダーとの対話をCSOが担うことの重要性が指摘されています。
これからのCSOに期待されること
サステナビリティの推進組織BSRは、これからのCSOの姿として、3つのタイプを示しています。現状は1のタイプが多いところ、2や3の役割を担うことが今後期待されるとしています。
1つ目は堅実な管理者(The Steady Manager)。確立されたサステナビリティ組織において、リスクマネジメントを中心に、コンプライアンスの遵守や事業組織とのスムーズな連携、既存のビジネスモデルにおける限られた優先事項への効率的な対応を推進する。
2つ目は統合された戦略家(The Integrated Strategist)。既存のパラダイムとビジネスモデルの中で、重要なリーダーとして、企業戦略における意思決定においてサステナビリティを考慮する役割を担う。
3つ目は変革の推進者(The Transformative Change Agent)。企業の基盤となる事業戦略やガバナンス、製品・サービスに影響を与え、変革の機会を模索する。
また別のHBRの記事では、CSOの役割を再設計するためのツールとして、8つの役割に基づくレーダーチャートを提示しています。
- 8つの役割:
・規制遵守の対応
・ESGのモニタリング・レポーティング
・サステナビリティ関連プロジェクトのポートフォリオの監修
・ステークホルダーとの関係性構築
・組織におけるケイパビリティの構築
・企業文化の変革の推進
・新規施策の発掘と実験
・プロセスや意思決定にサステナビリティの視点や取り組みを組み込むこと
上記に示された8つの役割は、CSOの設置の有無を問わず、サステナビリティの推進において必要となるものです。サステナビリティを組織の変革の梃子としていくためにも、自社の取り組みの成熟度を踏まえ、CSOの役割を積極的に再定義し、社内外に示していくことが期待されます。私自身も、今度担当するCSOインタビューにおいて、そうした視点を意識して掘り下げていこうと思います。