障害者雇用において求められる新たな視点 インクルーシブな雇用とは?

2024 / 3 / 5 | カテゴリー: | 執筆者:Shiho Funahara

(Illustration by Franz26 via Pixaday)

民間企業の障害者雇用率を巡っては、2024年4月以降、段階的な引き上げが予定されており、2024年4月に2.5% へ、そして2026年に2.7%へ引き上げられます。

日本における課題、求められるインクルーシブな視点

一方で、2022年8月に実施された国連・障害者権利委員会による日本政府への審査では、障害者にとって、利用しにくい労働環境、個人の能力に関する限定的な情報提供、個別の配慮や支援の不足などの課題が指摘されています。

日本は古くから学校教育においても、障害のある児童を社会から分断する形(特別支援学校など)で支援してきた背景があり、企業においても障害のある社員の雇用形態や業務を一般社員と分けて考える傾向があります。しかし、こうした社会の仕組みは、利点もある一方で、障害のある方が一般就労になかなか移行できない、障害のある人々に対する健常者の理解が進みづらいといった側面があります。

そんな中、昨今注目されているのが「インクルーシブな雇用」(障害の有無に関係なく、共に働くため、個々の障害に応じた配慮、調整、仕組みの改善を行っていくこと)です。

企業で進むインクルーシブな雇用に向けた取り組み

「インクルーシブな雇用」の考え方を取り入れた取り組みは、企業においても広まりつつあります。

ソフトバンク

障害のある社員のための特別な部署や業務は設定しておらず、業務内容や雇用形態、人事評価基準は同じです。仕事をする上で困難なことがあれば、できる限りサポートを行う体制を整えており、定期的な通院が必要な社員のために、ノーマライゼーション休暇やスーパーフレックス制度などが設けられています。

・ ファーストリテーリング

一緒に働く社員たちの不安を軽減し、互いを尊重し理解を深めるため、店長や社員向けの障害者雇用研修を行っています。各店舗では障害のある社員一人ひとりに合わせ、職務内容をカスタマイズしており、共に理解を深めていく中で、今まで気付かなかった発見からサービスや商品の向上につなげています。

一人ひとりの意識変革が職場のDE&Iの実現につながる

「障害者」を表す表現についても、様々な考え方がありますが、個人的に好きな表現として「the challenged」があります。留学先の英国で知り合った友人から教えてもらったのですが、障害のある人々を社会の中でネガティブな存在として捉えるのではなく、よりポジティブな存在として捉えていこうとする表現です。また、英国では、国の制度自体が日本とは異なり、障害者雇用義務制度自体が差別につながり得るという考えのもと、障害のある人々をサポートするための施策に重きが置かれています。例えば、企業の求人においては、障害のある求職者の応募を排除してはならない(職種により必要な配慮や支援が難しい場合を除く)とされている他、Access-to-work(支援ワーカーの配置、通勤支援、福祉機器の提供などを行う制度)などの施策が展開されています。

仕事をする上で、障害のある人々の選択肢は未だ限られていることが多く、環境面の障壁だけでなく心のバリアが存在します。真のDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の実現には、私たち一人ひとりが「障害者だから」という先入観を捨て、共に寄り沿い歩もうとする意識変革が不可欠です。

エコネットワークスでは昨年、「障害」について考えるワークショップを開催し、組織として、より多様な個が安心して輝ける未来を共に探るための取り組みを進めています。

(船原志保/アナリスト)

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