比較可能性と透明性がカギ ESG評価を経営改善につなげるために 

企業経営におけるESGの重要性が一層高まる中、ビジネスを行う上でのベースラインとしてESG評価を位置付ける動きが見られるようになってきました。

評価されないと競争にも参加できない-ベースラインとしてのESG評価

「ESG評価のスコアが低かったため、入札に参加できなかった」

最近も、とあるBtoB企業から聞いた声です。昨今では、ESG評価のスコアが入札参加の条件となるような場合が出てきています。またEUでの事業会社や金融機関に対する法規制の動きなどもあり、こうした評価が取引や投融資を行う上でのベースラインとなっていくような流れがあります。

ESG評価のスコアが低いことで、ビジネスの入口にも立てないといった状況が現実化しています。こうした状況に直面することで、経営層も社内も本気になり、取り組みが加速しやすいという点がある反面、課題もあります。それは、スコア獲得が目的化してしまい、一度目標をクリアしてしまえば、それ以上改善しようという意欲が生まれない可能性があることです

その壁を乗り越え、企業がより高いレベルを目指す動機付けへとつなげていくためのキーワードの1つが、比較可能性と透明性です。

Race to the Top-より高いレベルへと引き上げていくために

比較可能性と透明性があることで、自社評価の詳細や他社の評価結果など改善のための手がかりに、企業自らがアクセスすることができます。また評価が投資家をはじめとするステークホルダーの中でどのように使われているかが明確であるほど、企業の本気度も変わってきます。評価結果を活用する上でも、比較可能性と透明性があることは重要です。

主要なESG評価機関の1つであるSustainalitycsは、点数付された各社のスコアの概要を誰でも見ることができます。NGOが主要プレイヤーとして関わっているものでは、一層高い透明性が確保されています。気候変動や水・森林への取り組みを評価するCDPは、企業の回答内容がすべて公開され、誰でも閲覧可能です。同様に人権の取り組みを評価するCHRB(企業人権ベンチマーク)も、各社の点数の他、詳細なスコアカードもすべて公開されています。

また企業側でも、透明性高く評価結果を開示する例も見られます。仏石油会社のTotalEnergiesでは、7つのESG評価について、自社の獲得スコアと同業他社平均との差を開示しています。またノルウェーの金融機関Sparebanken Sørでは、Sustainalyticsの評価レポートが自社ウェブサイトからダウンロードできるようになっています。

サプライチェーン評価に取り組む評価機関Ecovadisの調査では、過去の評価企業の傾向を分析したところ、開示を軸とした改善のサイクルが回っていることでより高いスコアの獲得につながることが明らかになりました。

企業と社会の両面でのサステナビリティの向上に向け、評価される側、する側の双方が、透明性の高い開示と評価と対話を通じて改善のサイクルが回る状況を作っていくことが期待されます。

 

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(Photo by Markus Spiske from Unsplash)

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