Sustainability Frontline サステナビリティをカタチに
「香りのある植物」もサステナブルな調達と消費を
木材、大豆、水産物、カカオ、パーム油など、サステナブルな調達が期待されるさまざまな自然資源があります。
「芳香植物」や「薬用植物」もそのひとつ。私たちの暮らしを彩る貴重な自然資源で、英語では、Medical and Aromatic Plantsを省略して、MAPsと表現されるようです。シャンプーや洗剤、化粧品に使われる、ローズなどの天然香料やアルガンオイルなどの植物油、シアバター、キャンデリラワックスなどがこの中に含まれています。
野生から収穫される芳香植物・薬用植物(MAPs)
こういった植物は栽培されるばかりでなく、野生から収穫されるものも多く見られます。世界的に見れば、MAPsの少なくとも6割は、野生からの収穫だそうです。自然に生える身近な植物を収穫することで生計を立てる方も、数多くいらっしゃいます。
しかし、なかには、乱獲や気候変動などの影響で存続が心配される植物が存在しているのです。国連食糧農業機関(FAO)と世界自然保護連合(IUCN)、NGOのTRAFFICは、昨年、レポートを発表。特徴的な12の植物をあげ、環境面・社会面からリスクを評価しました。
たとえばソマリアやイエメンで育つ植物のフランキンセンスは、生態学的リスク「中」、社会的リスク「高」とされ、農地転用や過放牧により生育に影響が出ている点や、現代奴隷、児童労働のリスクなどが言及されています。
具体的な解決策の一つとして、認証制度が挙げられます。TRAFFICによるフェアワイルド認証 は「私たちが野生の植物を持続可能な形で利用するための仕組みです。採集や取引、利用の際に守るべき『基準』と、その基準を満たした原料・製品のための『認証制度』を提供しています」とのこと。生態学的視点、社会的視点、経済学的視点が盛り込まれた制度で、日本で販売されているハーブティーにも認証マークがついた商品があります。また業界独自の取り組みとしては、米国のアメリカン・ボタニカル・カウンシルによるツールキットの提供が見られます。
植物も「有限」の資源
ただ、この課題が消費者の意識の持ち方とも関係していることは見逃せません。ナチュラル志向の高まりから植物への関心が集まりますが、植物も「有限」なのです。
消費者としてできることはまず、暮らしの中にある植物資源を適切に無駄なく使うこと。そして、「目利き」の力をつけ、丁寧に選び取ること。メーカーに要望してみることも手段の一つです。今年のバレンタイン商戦ではフェアトレードチョコレートが目立つという報道がありました。人びとによる選択基準が変わってきたと実感する方も多いのではないでしょうか。消費のありようは確実に、地球の未来とつながっています。
(近藤圭子/ライター)
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