消費者のエシカルな選択を後押し ロレアルの環境インパクトスコア

2023 / 1 / 7 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

企業がサステナブルなビジネスを展開するアプローチの1つに、サステナビリティを軸にした新ブランドの展開があります。たとえば菓子メーカーのカンロは、アップサイクルやリサイクルなど4つの考え方を軸に商品開発を進めた「ヒトツブカンロearth」というブランドを昨年リリースしました。

環境や社会に関する独自の指標を設定し、その基準をクリアしたものを認証製品として展開するやり方もあります。三井化学は提供価値を見える化するため、環境影響が低いBlue Value®製品と、QOL向上に資するRose Value®製品を認証し、それら製品の売上比率の拡大を経営目標に組み込んでいます。

一見わかりやすいこれらの方法ですが、消費者の立場から見たときに、大きく3つの課題が上げられます。評価基準が妥当かわからない(①客観性)、その他の製品と比べにくい(②比較可能性)、そして情報が理解しやすくアクセスしやすい形で提供されていない(③わかりやすさ)、という点です。

ロレアルの総合製品環境インパクトスコアから学べること

ロレアルがフランスや英国で取り組んでいるのが、製品ごとにライフサイクルでの総合的な環境影響を評価し、開示する総合製品環境インパクトスコア(Overall Product Environmental Impact score)です。ロレアルグループの同じカテゴリーの製品の2020年の数値を基準として、総合スコアがAからEの5段階で表示される他、特に環境影響が大きい炭素と水のフットプリントの個別評価も分かるようになっています。

昨年は米国でも新たにGARNIERブランドのヘアケア・スキンケア製品でスタートし、徐々に対象製品とブランドを拡大していく予定です。展開にあたっては、生活者に対する調査を通じて、製品のサステナビリティ情報の開示に対する強いニーズを確認しています。

①客観性については、11名の専門家の協力の下、プラネタリー・バウンダリーの考え方を踏まえた14の環境指標を設定しています。最も厳しい基準と言われるEUの環境製品フットプリント規制とも整合しており、評価基準に関する詳細なドキュメントも公表されています。また各製品の評価結果は独立した認証機関による監査を受けています。

製品ごとに5段階位のスコアで表示されているため、②比較可能性も担保されています。さらには自社で蓄積した知見を還元して、約60社の化粧品メーカーが参加するEcoBeautyScore consortiumを通じて業界基準としていくことを目指しており、2023年後半に予定されている基準策定後は、そちらの評価基準に切り替えると宣言しています。

 AからEの5段階での表示は、EUでは食品の栄養ラベル表示でも採用されており、③わかりやすい形式と言えます。また対象製品をスコアで比較し検索できるウェブサイトも展開しています。E評価の製品もあり、その製品のページにいくと、よりスコアの高い代替品への導線も用意されています。

 消費者の主体的な購入判断を後押しする

医療の世界に、患者が便益とリスクについて十分な情報を得た上で主体的に選択をするインフォームド・ディシジョンという言葉があります。ロレアルはこの取り組みを通じて、消費者が十分な情報を得た上で購入判断をする、インフォームド・パーチェシング・ディシジョン(Informed Purchasing Decision)を支援すると明言しています。

これは企業にとって、グリーンウォッシュを避け、透明性を担保し責任を果たすという受け身の姿勢を超えて、消費者の新しい選択基準を作り出し、エシカルな市場を創造するために必要な取り組みでもあります。

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(Thumbnail photo by abillion from Unsplash)

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