どう対応? GRI改訂版共通スタンダード2021

2022 / 9 / 1 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

 

サステナビリティ情報開示の国際的な枠組みであるGRI(グローバル・レポ―ティング・イニシアチブ)の改訂版共通スタンダード(GRI1~3)が2021年10月に発行されました。インパクトの観点の導入、人権の開示の強化、マネジメント手法におけるデュー・ディリジェンスの概念の追加といった点が変更になっています。

まだ日本語版が公表されていないことや、業界別に重要な開示事項をまとめたセクター別スタンダードの発行状況が見通せないことから、今年先行して対応している企業はわずかです。しかし2023年1月以降に発行される報告書に対して適用が開始されるため、来年以降、各社は本格的な対応が求められることになります。

対照表を新しくする、にとどまらない対応を

改訂版共通スタンダードに対応するためには、新しい基準に適応した対照表を作成するという発想では不十分です。ポイントとしては大きく3つです。

1.マテリアルな項目を明確にし、マネジメント情報と常にセットで開示する
GRI 103(マネジメント手法2016)が改訂されてGRI3(マテリアルな項目2021)となります。改訂版に対応した対照表のサンプルが公表されていますが、マテリアルな項目を独立させて、それぞれマネジメント情報と関連するスタンダードとセットで開示する形となり、何が重要な項目で、どのようにマネジメントし、どのような情報を開示しているかをより明快に示すことが求められます。

2.要請内容を正しく理解し、省略理由の説明を含め開示の質を上げる
特にマテリアルな項目については、表面的な開示で終わらせず、なぜそうした情報が要請されているのか背景を理解し、要請内容に合致した開示ができているかを精緻に見直していくことが大切です。それには開示しない・できない場合の省略の理由をしっかりと説明することも含まれます。

3.取り組みと開示のサイクルに組み込み、数年単位でレベルアップさせていく
インパクト視点を評価軸に取り入れたマテリアリティの見直し、マネジメントの仕組みの構築、未開示事項への対応など、開示にとどまらない対応が求められます。また業界ごとの重要な情報を示すセクター別スタンダードも、40セクター分が今後順次公表されていきます。数年単位でサステナビリティへの取り組みを底上げしていく機会と捉えることが必要です。

GRIに対応することの意味

2022年中には、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)による新基準の発行も予定されています。ISSB基準のターゲットは投資家であり、企業財務に影響するサステナビリティ情報にフォーカスしたものであり、GRIとは役割を棲み分けながら検討が進められています。

ともすると財務の観点のみが優先されがちですが、持続的な価値創造を実現する上では、環境・社会的マテリアリティを同時にしっかりと押さえていくことが不可欠です。マルチステークホルダーをターゲットに、企業活動が環境・社会に及ぼす影響についての開示基準を定めたGRIスタンダードへの対応はその一歩となります。

GRI対照表の作成は、レポート制作の最終段階に行うことが一般的で、私たちもそこだけを部分的に支援することがあります。しかし改訂版共通スタンダードに対応する上では、サステナビリティ情報開示の潮流を踏まえた上で、より本質的な部分に踏み込んで取り組んでいくことが重要であり、私たちもそうしたサポートができる存在でありたいと考えます。

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Photo by Markus Winkler on Unsplash

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