育休促進に向け本当に必要なこと

2022 / 4 / 3 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

男性の取得向上に向け産後パパ育休スタート

2022年4月から、育休にまつわる国の制度が変更になります。日本の育休取得率は、女性81.6%に対し男性12.65%(令和2年度調査)。取得期間では3ヵ月以上が女性96.3%に対し男性7.1%で、男性は5日未満が36.3%、2週間未満が35.1%となっています(平成30年度調査)。大幅に遅れている男性の育休取得の促進に向けて、父親の産後の育休取得(産後パパ育休)や、母親・父親問わず2回まで分割取得が可能になるほか、妊娠・出産を申し出た個別の労働者への周知徹底などが必要になります。

すでに充実している日本の制度

一方で日本の育休制度はすでに世界一と評価されています。

ユニセフ(国連児童基金)が昨年発表した保育政策や育児休業政策を評価した報告書では、OECD・EU加盟国41ヵ国中、日本の育児休業制度は1位となっています。特に父親に対する育休期間が世界で最も長い点が評価されている反面、総合では21位。実際の父親の取得率の低さや、無償の保育・幼児教育の利用しにくさ、保育従事者の社会的地位の低さといった課題が指摘されています。

先進国ではどう取り組んでいるか

制度だけでなく家族、企業、社会が変わることが必要との問題意識の下、男性の育休取得を当たり前にしようと3つのメディアが連携した「#これからの育休」プロジェクトが昨年立ち上がっています。その中の1つのの記事でスウェーデンとフランスの事例が紹介されています。ヒントになるポイントとしては、

  • ・父親が取得しないと給付金を得られない(8歳までに480日取得可能で、その内90日を母親・父親双方に割り当て)
  • ・父親が育児に関わることが家族関係や子どもの人格形成に良い影響を与えるとの調査を踏まえ、父親の7日間取得を義務化
  • ・父親が当事者意識をもつ(「妻が」ではなく「私たちが妊娠しました」)
  • ・休むことを前提としたマネジメント(休めないのは会社やマネージャーが無能だから)

といった点が挙げられますが、中でも自分ごと化・前提という部分に注目したいです。

本質的に必要なことは、前提を変えていくこと

働く人の問題は育児だけではありません。両親の介護や、自身や家族の病気は誰もがいつかは直面する問題です。女性は働く期間の大部分を生理と付き合っていく必要があります。人生100年時代や少子高齢化で地域の担い手が減る中で、今後のキャリアをつくっていくための学びや、地域に関わる社会参加の時間も重要です。そして、心身共にリフレッシュする、本当の意味で休む時間も。

必要なことは、1日の大部分を会社のために時間を提供するという従来のフルタイム・正社員を前提から脱却し、誰もが時間制約を抱えて働くことを前提とした発想・制度設計へと転換することではないでしょうか。

そしてその制度はシンプルであればあるほど、よいと考えます。休みを取得するための条件を事細かに設定したり、様々な「〇〇休暇」制度をつくったりという方法もありますが、「本人が休みたいときに休める」「上司・同僚から見て休む必要があるときに休める」制度をつくり、利用することが当たり前の文化をつくるところに力を入れていく。その前提として、子育てや介護を始めとする個々の課題に対する理解を深める、休むことに対する個人の権利を確立する、休むことの意味を個人として、組織として、社会として確認する。その上で、個々人の事情を踏まえて安心して働き続け、力が発揮できるようそれぞれが実践することが重要です。

かくいう私も、4月から3カ月間、第2子の誕生に伴い2回目の育休を取ります。正確には、産前1ヵ月は働く時間を減らして家族との時間を増やし、育休中は仕事は必要最低限のみ行い、復帰後は2年前の第1子誕生以降フルタイムの2/3ほどに抑えていた労働時間をさらに短くすることを考えています。

育休中の様子については、現在社内で進んでいる「サステナブルな休み方」プロジェクトの中で取り上げていただく予定です。また様子をご報告できればと思います。

 

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Photo by Nadine Shaabana on Unsplash

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