NPOは企業に支援されるばかりとは限らない

2021 / 12 / 21 | 執筆者:近藤 圭子 Keiko Kondo

手を繋ぐ人物のかたちのペーパーアート

ソーシャル分野のコンサルティング会社 設立したのは?

米国ワシントンD.C.に拠点を置く、ひとつのコンサルティング会社があります。その名は「コミュニティ・ウェルス・パートナーズ」。ウェブサイトを見ると、この会社のクライアントには、大きく分けて2つのタイプがあることがわかります。

ひとつは、企業をはじめとする資金提供者によって設立された助成財団や、その他さまざまな形態の寄付者です。助成財団は、NPOに対する資金や機会の提供を通じて、社会に変化をもたらす存在。コミュニティ・ウェルス・パートナーズは、そのような財団からの依頼を受け、より効果的なNPO支援をサポートしているのです。例えば、助成先NPOに対するキャパシティ・ビルディングのプログラム開発や、助成財団がNPOを支援する際の戦略策定や効果測定を支援しています。

もうひとつはNPOです。NPOの組織基盤強化のため、戦略策定や、様々な活動のプログラム設計、キャパシティ・ビルディング、チームカルチャーづくりなどあらゆる方面から支援しています。

ソーシャル分野に特化したこのコンサルティング会社には、母体がありました。「シェア・アワー・ストレングス」、子どもの食を支援するNPOです。

1984年に設立されたシェア・アワー・ストレングスは、お腹をすかせた米国の子どもたちを減らすために活動してきました。その過程では、様々な企業やインフルエンサーとの連携を実現させています。

コミュニティ・ウェルス・パートナーズは、シェア・アワー・ストレングスの経験を基盤に、助成財団等の寄付者やNPOを支援。事業を通じて社会の変革をいっそう促すとともに、シェア・アワー・ストレングスの収益を支えています。

「民間企業を最大限に活用する3つの方法」

コミュニティ・ウェルス・パートナーズとシェア・アワー・ストレングスは、書籍『世界を変える偉大なNPOの条件』(ダイヤモンド社、2012)において紹介されている事例のひとつです。

同書ではNPOが「民間企業を最大限に活用する3つの方法」として、
①企業のやり方を変えさせる
②企業と連携する
③収益事業を運営する
の3点が挙げられています。

①は、企業がもたらすマイナスの影響を軽減させるための働きかけや、反対に、社会課題に対してプラスになるビジネスを進める働きかけを指します。

②は、社員ボランティアの受入や、寄付の受付。あるいはコーズマーケティングのようなより戦略的な連携が含まれます。

③は、冒頭で紹介したような例です。NPOであるシェア・アワー・ストレングスは、コミュニティ・ウェルス・パートナーズの事業を通じて、企業が設立した財団等から収益を得ています。

当然、適する手法は団体によって異なります。また、同じ団体でもプロジェクトごとに手法を選ぶ必要があるでしょう。しかしいずれも目的は、企業を動かすことで社会に対してより大きな変化をもたらすことにあります。

企業はNPOを、NPOは企業をサポートし、社会づくりをともに

さて、企業の立場からすれば、「民間企業を最大限に“活用する”方法」というキャッチーな言い方は、あまり気持ちのよいものではないかもしれません。また「①企業のやり方を変えさせる」では、戦略上、毅然とした態度や強い言葉を選んでアプローチするNPOもあるはずです。

一方で、同書に紹介されているシティイヤーのような姿勢のNPOもあります。

「私たちが会社の目標やフィランソロピーの目標をたずねると、そんな質問をされたことはなかったといって、多くの企業スポンサーが喜んでくれる」

シェア・アワー・ストレングスのウェブサイトでも、企業に連携を呼びかけるページには

・企業のビジネスに貢献し子どもの飢餓削減にも貢献する、効果的でクリエイティブで測定可能なパートナーシップを実行する
・企業が私たちと連携する目的は、従業員のモチベーション向上、業者や消費者とのエンゲージメント、新商品の発売など、どんな目的でも歓迎

といった主旨が書かれ、お互いにとってベネフィットのある関係を目指している様子がうかがえます。

考えてみれば、異なる組織同士が連携するとき、お互いの考えをすり合わせて落としどころを見つけていくのは、企業同士でも当たり前の話。企業とNPOが連携する場合にも大切なのは、相手のことをよく知ること。興味を持つその姿勢です。

サステナビリティが経営課題となる今、社会課題やその当事者との距離が近く詳しい存在=NPOは、企業にとって重要な示唆を与えてくれるパートナーとなりえます。企業がNPOを支援するばかりでなく、NPOが企業を支援することもあるのです。立場が違うからこそ、互いの強みを生かして、社会課題解決に取り組める。そんな時代はすでにやってきています。

(近藤圭子/ライター)

Photo from Adobe stock

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