花の地産地消を目指して~欧米で注目される「スローフラワー」

2021 / 8 / 23 | 執筆者:mihosoga

カラフルな花束の写真

エコネットワークス(ENW)のお仕事パートナーの1人、三井 聡子さんは通訳・翻訳をしながら、藤野(神奈川県)の里山で花農家 four peas flowers を営んでいます。三井さんが大切にしているのは、オーガニック栽培と花の地産地消。野性味あふれる花束は唯一無二の魅力を放っており、ファンが増え続けています。

こうした取り組みは欧米では「スローフラワー運動(Slow flowers movement)」と呼ばれ、少しずつ考え方が浸透しています。今回はその概要と世界の動きをお伝えします。

そもそも「スローフラワー」とは

「スローフード」に触発され2000年代に米国で始まったスローフラワー運動は、エシカル・サステナブルな方法で生産された旬の花を、産地に近い場所に住む消費者が買おうと呼びかける取り組みです。

背景には、米国では購入された切り花の80%が輸入されている現状があります。産地の労働環境が劣悪だったり、花の栽培が環境問題を引き起こしていたりすることもあります。輸送の際は冷蔵保存され、遠い距離を運ばれるので輸送の際のCO2排出量が多い点も問題視されています。これらの問題の解決策として、スローフラワー運動が始まりました。


スローフラワー運動の紹介動画(英語)

「スローフラワー」と呼ぶには下記のような条件があります。オンラインマガジン『SLOW FLOWERS JOURNAL』に載っている「A Slow Flowers Manifesto(スローフラワーズマニフェスト)」を参考にまとめました。

・花の旬を認識し、尊重している
・できるだけ地元に近い花を調達し、輸送のカーボンフットプリントを削減している
・認証ラベルを通じて花農家をサポートしている
・花産業における廃棄物と化学製品の使用を排除しようとしている

米国・欧州で広まるスローフラワー運動

米国の切り花市場は数十億ドル規模の産業で、複雑なサプライチェーン構造を経て売られています。一方で、スローフラワー運動の高まりもあり、サステナブル志向の消費者や企業が花農家と直接取引をおこなうケースも増えてきました。「SLOW FLOWERS」(地元の花農家やスローフラワーを支持する関連ビジネスの情報を検索できるウェブサイト)では、情報の掲載を求める農家や企業が昨年1年間で3分の1も増え、880団体の情報を載せるようになったそうです。

欧州でもオランダの花市場を経て、欧州各地の生花店に花が配送されています。自国で育てた花がオランダに送られ、また戻されて売られることもあります。こうした状況を変えるべく、英国では10年前に「フラワーズ・フロム・ザ・ファーム(農家からの花)協同組合」が設立され、今では1000以上の花農家が加盟する同組合のウェブ検索で、近所の生産者を探せるようになりました。また、フランスでは農産物の品質認証を支援する団体エキセランス・ヴェジタルが「フラワーズ・オブ・フランス(フランス産の花)」という認証ラベルを作り、花の地産地消を求める消費者の声に応えています。

日本の大きな課題は「フラワーロス」の削減

切り花の72%が国産の日本では、輸入の割合が低いですが、スローフラワーが掲げている「花の廃棄物削減」の改善が大きな課題となっています。供給過多により花が廃棄される問題は「フラワーロス」と呼ばれ、経済損失は年間1500億円と言われています。特に新型コロナウイルスの影響で冠婚葬祭や入学式・卒業式などの式典が減り、使われる花が廃棄された2020年は問題が深刻化しました。そこで「フラワーライフ振興協議会」は、全国20箇所以上で、地域の花農家の花を飾ったり、配布したりするイベントを開催。問題を広め、花を無駄にせず、より身近に楽しむ文化を創り出そうとしています。

また、東京都内の生花店「hanane (ハナネ) 」は、廃棄される花を「チャンスフラワー」と呼び、花農家から買い取り、カフェや商業施設で1本100円で販売しています。


「フラワーライフ振興協議会」の紹介動画

生産者の支援につながり、地球にも負荷の少ないスローフラワーを愛でることは、生産者、消費者、地球環境のすべてにメリットがあります。自分が育てた花を飾る、国産の花を選んで贈る、フラワーロス関連イベントに参加するなど、ちょっとした行動からスタートできるので、みなさんも始めてみませんか?

(曽我 美穂/ライター)

Photo by Megan (Markham) Bucknall on Unsplash

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