その表現大丈夫? コミュニケーションの注意点【環境編】

2021 / 7 / 4 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

ジェンダー関連の炎上事例が近年相次いだことで、企業側の意識も高まり、問題防止に向けてリスクチェックの体制構築や、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の研修といった社内啓発に力を入れる動きが見られます。「ビジネスと人権」において企業に求められている、人権に及ぼすリスクを特定し、影響を予防・軽減するための人権デューディリジェンスが実践されているとも言えます。

コミュニケーションにこうしたデューディリジェンスの観点を取り入れることは、人権だけでなく環境の領域においても重要です。具体的にどのようなポイントが考えられるでしょうか。

1.誤解を与える用語でないか
米国のビューティー雑誌「ALLURE」サステナビリティメディア「オルタナ」では、曖昧な言葉や誤解を与える用語は基本的に使用しないとしています。例えば「環境に優しい」という科学的に曖昧な用語や、実態としてはリサイクルされることや自然の中で分解されることがほとんどない「リサイクル可能なプラスチック」「生分解性」という用語について、使用禁止や使用する際の細かなルールを定めています。

2.用語を不正確に使っていないか
「フードロス」と「食品廃棄物」、「food loss」と「food waste」はその一例です。英語と異なる定義で用語が使用されることで、海外へのコミュニケーションの際に誤ったメッセージとして伝わってしまう可能性があり、注意が必要です。

3.実態を無視していないか
「生分解性」や「たい肥化可能」という表現は、機能としては正しくとも、現実にはその機能が発揮されるための条件が整った環境下におかれることはほとんどありません。例えば海洋中での生分解性を認証する「OK Biodegradable MARINE認証」は、日本企業ではカネカやレンゴーが取得しコミュニケーションでも訴求していますが、生分解性の認証条件が「海水温30℃で6ヵ月以内に90%以上」となっており、実態からかけ離れている点が批判されています。そうした実態を踏まえていないコミュニケーションはグリーンウォッシュと批判されるリスクがあります。

4.環境に悪影響を及ぼす行動を促していないか
たとえば漁業資源の枯渇が懸念される中で、安く大量に消費することをあおるような回転ずしのCMや「土用の丑の日」の広告。持続可能に魚を食べ続けるために必要な責任ある消費とは真逆の行動を促すメッセージとなっています。
あるいは一人暮らしでの癒しとしてペットを飼うことを気軽に勧めるペットショップや不動産会社のウェブサイト。元々日本では多くのペットの命が殺処分されている中、コロナ禍で飼育放棄も急増しています。さらに最近人気の「エギゾチックペット」と呼ばれる珍しい野生動物には感染症や絶滅危惧種、密輸といった問題が懸念されます(WWF「エキゾチックペット」の問題-アンケート結果を発表 意識変容、そして規制強化を!)。

欧州では気候変動対策の観点から、SUV車や化石燃料を使用した製品の広告を規制する動きがあり、産業界からも責任ある広告のあり方についての議論が出てきています。今後は、環境面から企業のコミュニケーションについての注目がこれまで以上に高まることは間違いありません。

うわべだけやっているように見せかける「グリーンウォッシュ」や「SDGsウォッシュ」といった批判を予防するためにも、企業には多様性や人権面だけでなく、環境面からも自社のコミュニケーションのあり方を見直すことが期待されます。また私たちもワークショップをご支援することがありますが、表現やコミュニケーションを切口とした研修は、サステナビリティの潮流に対する社内の感度を高めていく上でもお勧めです。

Clker-Free-Vector-ImagesによるPixabayからの画像

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