地方銀行、SDGs評価の”モノサシ”導入による地域SXへの貢献

2021 / 3 / 29 | 執筆者:岡山 奈央 Nao Okayama

 

先日、ふくおかフィナンシャルグループ(ふくおかFG)が、持続可能な地域社会の実現に向け、SDGsに関する取り組みを支援する子会社を設立する、というニュースを見かけました。

今回の記事で特に目に留まったのは、「新国富指標」の第一人者の協力のもと、新たな”モノサシ”を導入し、SDGsに関する取り組みを定量的に評価していくことで、地域社会・企業の持続可能性を重視した経営の転換「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」を促していくという点です。

社会的課題解決型のビジネスをマッチングなどの方法により、地域における企業を支援する取り組みを進めている地方銀行はすでにありましたが、非財務情報の定量的な評価は、都市銀行などでもなかなか難航しているなか、今回のふくおかFGの発表は、かなり先進的な取り組みであると言えるのではないでしょうか。

評価方法が確立されている財務評価と異なり、社会的なインパクト評価はこれまで、さまざまなアプローチの試みがなされてきました。
横断的な社会インパクト評価については、数年前にもこちらでご紹介したSROIなどの指標が知られていますが、豊かさの社会指標と個別インパクト評価をつなげることができる指標として、国連の「新国富指標」※やOECDの「Better Life Index」の可能性が検討されています。

複雑な社会課題を測るという性質上、こうした指標が完璧に社会を評価することは難しいかもしれません。一方でさまざまな社会課題は放っておいてもよくはならず、解決に向けた糸口を探していく必要があるのと同時に、変化を起こすことは企業や社会の機会につながる可能性もあります。上記のブログでもご紹介しているようにインパクトは評価することが目的ではなく、評価の結果を踏まえ、変化を最大化させる判断をすることが真の目的であり、こうした指標の活用など試行錯誤しながら、私たちは前へ進む必要があるのではないかと思います。

コロナ禍により、企業や個人の地方への関心が高まりを見せるなか、地域金融機関は、地域の経済において、さまざまな産業による取り組みを横断的に推進する重要な役割を担っています。SDGsのような社会課題解決に向けた取り組みを適切に評価し、定量的に見える化・周知していくことは、特に”金融”という業界においては、非常に重要な一歩であるのではないかと思います。

ふくおかFGの挑戦を応援するとともに、他の地方銀行でも同様の取り組みが広がること、そして、地方の持続的な成長につながっていくことを期待しています。

※新国富指標:長期的に持続可能な発展を計測するため、多様な資本を重視して開発された経済指標。具体的には(1)人工資本(インフラなど)(2)人的資本(人口、教育、健康など)(3)自然資本(気候変動、農地、森林、鉱物など)-を中心に、地域の資産全体を評価し数値化する。国内総生産(GDP)だけでは把握できない富や豊かさの測定手法として注目を集めている。売上高のような企業データはフローを表す指標であるのに対し、新国富指標は地域のストックを表す指標である。

 

(岡山奈央/調査分析プロジェクトマネジャー)

 

参考記事:
見えない価値を測る:新国富指標
社会的インパクトー企業価値創出の新潮流

 

 

 

 

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