環境リバウンド効果に要注意 評価することの重要性

2021 / 1 / 6 | 執筆者:EcoNetworks Editor

色々なところで「サーキュラーエコノミー」というワードを耳にするようになりました。しかしその言葉の定義については、エレン・マッカーサー財団によるものなどよく引用されているものはありますが、実は厳密な定義は確立しておらず、世界で100以上の学術論文がそれぞれの解釈を示しています。またビジネスや政策の現場でも、それぞれの解釈で使われている実態があります。


サーキュラーエコノミーの要素 循環度の異なる9つのR(Kirchherr et al (2017)を和訳引用)

そうした中で懸念されている課題の一つが、「環境リバウンド効果」です。環境リバウンド効果とは、最新技術の導入などにより資源・エネルギー効率は向上したものの、新たなサービス・消費が生まれた結果、それが予想していた資源・エネルギー消費削減量を相殺、または利用量増加となってしまうことです。

サーキュラーエコノミ―も例外ではなく、再利用品が新品市場の代替になり得ていない場合、また新たなビジネスの導入や製品の低価格化が(直接・間接的な)資源利用増加を招いてしまうなどの場合に、以下のような環境リバウンド効果が生じることが指摘されています。

・スマートフォン中古市場の例(米国)
新品の代わりでなく2台目、3台目として中古スマートフォンを購入する消費者や、中古品購入で浮いたお金による追加的な消費でより多くの資源利用を招いてしまう(Makov and Font Vivanco ., 2018)

・Peer to Peer ボートシェアリングプラットフォームの例(フィンランド)
利用者によるボートの個人利用と移動のための航空利用の増加により、シェアリングサービスによって削減した資源利用量・GHG排出量の一部または全体を相殺(Warmington-Lundström, J., & Laurenti, R., 2020

サーキュラーエコノミーの本質的な目的は、循環の実現による資源・エネルギー総利用量の削減です。特に新たなビジネス市場として拡大しているシェアリングプラットフォームは、所有権を個人から共有にすることで、経済効率を最大化し、資源利用を大幅に減らすことができると期待されていますが、ビジネスの導入による消費者の行動変化や、間接的なエネルギー利用に配慮しないと、結果的に環境負荷を高めてしまいます。

そうならないためには、使用段階や再製造段階などライフサイクル全体を通した定量的な評価が欠かせません。具体的な分析手法としてはライフサイクル・アセスメント(LCA)を元にした分析ツールが主流ですが、マルチクライテリア(複数環境影響領域)評価、国際基準を元にしたライフサイクルにおけるGHG排出量算出など、様々な方法があります。

また第三者評価として、国際的な認証制度も広がっています。例えば、サーキュラー・エコノミーの元となった概念の一つであるCradle to Cradle®(揺りかごから揺りかごまで)の評価機関では、5つの独自基準を用いて認証を行っています。(【参考】認証制度創設者インタビュー:Interview: Cradle to Cradle® — 新たな品質基準

環境負荷低減と人々の豊かな暮らしを両立できる社会を作っていくためにも、せっかくの新たな技術や取り組みが本末転倒とならないよう、概念を取り入れるだけでなく、同時に適正な評価を行っていくことが重要です。

(奥村彩佳/パートナー)

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