シャネルが太陽光パネルを住宅に無償で設置するわけ

2020 / 11 / 30 | 執筆者:近藤 圭子 Keiko Kondo

今年9月、RE100が初となる表彰「RE100 Leadership Awards」を発表しました。受賞したのはシュナイダーエレクトリック、ノボノルディスク、アップル、セールスフォースなどで、受賞理由を見ていると「Best Community Changemaker」として表彰されたシャネルの取り組みが目を引きました。

シャネルがカリフォルニアで行っているのは、低所得者の集合住宅に対し、太陽光パネルを住民負担なしで設置する取り組みです。これによって太陽光電力を使えるようになった約3万人の住民は、年間600ドルの電気代を節約できます。同時に、シャネルは低所得の方々に対して2万時間の職業訓練を提供し、新たな仕事として就業してもらえるよう育成を進めています。同社が投資するのは、約3,500万ドル(約36億円)。住宅用太陽光パネル開発のSunrunとの協働による取り組みです。

なぜシャネルはこのような取り組みを行うのでしょうか。それは、環境戦略「Chanel Mission 1.5°」の一環にほかなりません。自社施設での発電や森林保護などに加え、住宅に設置した太陽光パネルで発電することで、カーボンニュートラル実現に向けた不足分を補填しようとしているのです。

このように自社のカーボンニュートラルまたはカーボンネガティブと、地域のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を同時に目指す取り組みは、シャネル以外にも、マイクロソフトも進めています。米国では、自然エネルギー業界のD&Iが加速しているようです。今年10月には、自然エネルギーを提供する企業が連携して業界内のD&I推進を目指すイニシアティブ「Renewables Forward」が設立されました。

同イニシアティブでは、例えば、ラテン系、ネイティブアメリカン、アフリカ系、女性などのコミュニティに対し、手頃な価格のソーラーサービスを提供して、あらゆる人が太陽光による電力にアクセスできるように取り組んでいます。また、経済的に不利な立場にあった方々を含め、多様な人が自然エネルギー業界で働ける環境を目指し、採用ノウハウや研修方法、ツールキットなどが共有されています。ウェブサイトからは、気候変動問題だけでなくD&Iにも同時に取り組む強い意志が感じられ、印象的でした。

さて日本の状況を思い浮かべてみれば、2050年までにCO2排出実質ゼロを目指すとの表明があり、気候非常事態宣言も衆参両院で可決されています。環境産業は成長分野、雇用創出の場としてますます期待されているといえるでしょう。日本でもシャネルのような例が行なわれていくか(あるいはすでに行なわれているか)注目したいですが、現時点で「自然エネルギー×D&I」でどのような取り組みがあるか調べてみると、障害がある方がお仕事にされている例が見つかりました。
・障害者支援施設が太陽光発電事業をスタートし、知的障害のある方の就労支援の場とした例
・メガソーラーがメンテナンス業務を障害者支援施設に委託する例
・農福連携と同時にソーラーシェアリングを行う例(障害のある方が働く畑に、太陽光パネルを設置して発電する)

気候変動問題への対応をしつつ、D&Iに取り組む。複数の課題解決を目指す仕組みづくりは、これからますます注目を浴びるのではないでしょうか。

Photo by Chesneau via Pixabay

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