大量消費の日「ブラックフライデー」、問われる企業の真価

2020 / 11 / 16 | 執筆者:宮原 桃子 Momoko Miyahara

 

 

11月に入ると、世界のあちこちで「ブラックフライデー」という言葉を見聞きするようになります。元々は、米国などで11月第4木曜日の感謝祭の翌日の金曜日を指し、多くの企業や商店にとってクリスマス商戦の初日と位置付けられ、大セールが始まる日です。企業にとって大きな黒字を記録することから、「ブラックフライデー」と呼ばれています。米国で生まれたブラックフライデーは、今では日本を含め世界各国に広まり、100円のジーンズなど驚くべき値引き競争が繰り広げられています。

しかしここ数年、この大量消費合戦に疑問を呈し、反旗を翻す企業も増えています。サステナブルなアパレルブランドの筆頭に挙げられるパタゴニアは、2011年のブラックフライデーに、ニューヨークタイムズ紙に自社製品の写真とともに「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」という全面広告を出しました。さらに2016年には、ブラックフライデーの日の売り上げの全世界合計1000万ドル(約11億円)を環境保護団体に寄付しています。米アウトドアブランド大手のREIも、2015年以降ブラックフライデーの日は全店休店としています。また家具大手のイケアは、今年のブラックフライデーを「グリーンフライデー」と言い換えて、同社の使用済み中古家具の買い取りキャンペーンを実施し、製品循環を推進すると発表しています。「グリーンフライデー」は、フランスなど欧州でこれを呼び掛ける市民運動が広がっています。

©Diariocritico de Venezuela

製品を販売して収益を確保することは、企業の生命線です。しかし、過剰なセール合戦は、消費者の思考を停止させ、本当に必要ではないモノを含め大量消費を煽ることにつながります。企業のジレンマとも言えるこの点について、パタゴニアはブログでこう記しています。

お客様に「購買はよく考えてから」と奨励しないことの方が、偽善なのではないでしょうか。環境への悪影響を削減するためには、環境により配慮し、およぼす害のより少ない方法で製品を製造するだけでなく、私たち全員が消費を減らさなければなりません。一方、健全な経済が基盤にすることができるのは、人びとが必要としないものをより多く売買することだと思い込むのは、愚かなことです。ー中略ー 私たちの誠実さ(あるいは偽善)は、私たちが売るすべてのものが有益で、可能な場合は多用途に使えて、しかも長持ちし、そして美しいけれども流行の奴隷でない、ということにかかっています。

同社は、ミッションステートメントに「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」を掲げ、すでに30年以上にわたり、素材や生産などあらゆる側面でサステナビリティに関する取り組みを推進しています。こうした企業理念や戦略に従って、ブラックフライデーも一貫した対応を取っていると言えます。

ここ数年「ブランド・アクティビズム(Brand Activism)」という概念が注目されています。より良い社会をつくるために、企業が社会課題に対する自社の価値観を表明し、行動することを意味し、世界的な経営学者フィリップ・コトラー教授も、企業戦略の重要なポイントの一つとして挙げています。今年はコロナ禍やブラック・ライブズ・マター(BLM)などさまざまな課題に対して、多くの企業が意思表示をし、支援プログラムや新たな製品開発、社内制度改革などの施策を展開しています。

ブラックフライデーは、大量消費という課題に対する企業の姿勢やブランド・アクティビズムが現れる日と言えます。企業として大量消費に加担するのか、それともサステナビリティを追求する姿勢を見せるのか。消費者は、ここに企業の本心を見ています。

(宮原桃子/ライター)

 

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