途上国でこそ重要な「修理する権利」

2020 / 10 / 4 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

今年3月にEUが発表したサーキュラー・エコノミーに関する行動計画の中で、消費者の「修理する権利」が明記されました。使い捨てをなくし限られた資源を有効に使い続ける経済の実現に向けて、メーカーには製品寿命を長くするだけでなく、修理がしやすくなるよう製品デザインを工夫したり、修理するためのパーツの在庫を一定期間保管したり、といったことが求められるようになります。

欧米で議論が進む「修理する権利」ですが、途上国でこそ、この考え方は重要です。

従来、物資が乏しい途上国の特に農村地域では、壊れたら修理し、また壊れたらまた修理し、とモノをできるだけ長く使い続けることは当たり前でした(かつての日本もそうでした)。しかし近年では、携帯電話やソーラーパネルなど、そうした地域でも電子機器が急激に増加を続けています。こうした電子機器は、一度壊れてしまうと、修理のための部品もスキルも足りないため直すことが難しく、Eウェイスト(電気電子機器廃棄物)となって廃棄され、周囲の環境を汚染します。

そうした中、途上国での「修理する権利」の実現に向けた挑戦も始まっています。

太陽光で充電するソーラーライトやソーラーホームシステムは、電気が通っていない無電化地域の生活向上を支える必需品です。市場は年々大きくなる一方、流通量も増加し、また中には1年も経たずに壊れる製品もあるなど、主要なEウェイストの一つともなっています。

ソーラーライトを展開するSolar Aidは、Eウェイストの削減に向けて以下のような取り組みを進めています。
・故障と修理の実態に関する調査
・修理ショップのネットワーク構築と、技術者の育成、修理部品の供給網の整備
・修理のためのマニュアルやアプリの普及
・サービス券と交換できる回収システムの実験
(Solar Aid: “Everyone deserves the right to repair“)

また無電化地域のソーラー製品での電化に取り組む業界団体のGOGLAでは、Eウェイストに関するワーキンググループを立ち上げ、長寿命や修理のしやすさを盛り込んだ製品設計の業界基準の策定や、回収・リサイクルのための政策の実現に向けた働きかけを進めています。

今後、「修理する権利」の保証は、先進国だけでなく途上国においても、ますます広がっていくことでしょう。企業には「修理する権利」を前提にしたビジネスモデルの構築をすぐにでも進めていくことが期待されます。

なお、世界のEウェイストの発生量は年々増加し、2019年には5360万トン、一人当たり換算で7.3キロに達しました。5年間で約20%の増加です。しかし適正に回収・リサイクルされているのは全体の17.4%に過ぎません。先進国で発生したEウェイストの多くは、途上国に輸出されている実態があります。先進国での不適切な輸出を規制するとともに、途上国で適正にEウェイストを管理するためのインフラ作りが求められます。

Global E-waste Monitor 2020提供のインフォグラフィックスより

Photo credit: free stock photos from www.picjumbo.com

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