「モノを選ぶことは、未来を選ぶこと」 消費者の力が社会を動かす

2020 / 9 / 25 | 執筆者:宮原 桃子 Momoko Miyahara

                       Photo by Victoria_Borodinova

2019年7月、英国の小学生姉妹が、マクドナルドとバーガーキングなど世界的なファストフードチェーンを相手に、署名キャンペーンを立ち上げました。彼女たちは「キッズセットについてくるプラスチック玩具は、すぐに飽きられてゴミになるのでやめてほしい。”Give us food, not plastic(プラスチックじゃなくて、食べ物をちょうだい)”」と声を上げたのです。

この署名キャンペーンは世界中から注目され、40万人以上の賛同を得ました。2か月後には、英国のマクドナルドとバーガーキングが、プラスチック製おもちゃの削減を決めたのです。英国マクドナルドは、2021年からハッピーセットのプラスチック製おもちゃを完全に廃止し、ぬいぐるみや紙製おもちゃ、本などに変更し、包装紙も紙に変更することを発表したのです。消費者の一人である小さな子どもたちが、企業を動かした瞬間でした。この取り組みは、3000トン以上のプラ削減につながるそうです。

こうした事例はさまざまあり、例えば英スーパー最大手のテスコは、14歳の少女の署名キャンペーンを機に、2025年までに卵製品をケージフリー(平飼い飼育)に切り替えることを決めました。また同社は、米国の黒人男性による肌の色に合った絆創膏を求めるツイートが、世界中に広がったのを機に、マルチカラーの絆創膏の販売を開始しました。最近では、ジョンソン・エンド・ジョンソンのタルク入りベビーパウダー商品が、米国消費者による訴訟やキャンペーンの結果、発がんリスクへの懸念から販売中止になるなど、消費者の影響力の大きさがわかります。

消費者は、モノを選ぶことによって、企業を動かし、その動きが社会全体にさざ波のように広がり、社会を変えていくことができます。忙しい一日が終わり、慌ただしく食材を買って、家路につく。そんな日々の買い物は、一見すると、ただお金を払ってモノを消費することでしかありません。しかし、一つひとつの商品の裏側には、小売店、卸売り会社、物流会社、生産者などさまざまな企業や人びとが存在し、地球環境そのものにもつながっています。モノを消費することは、背後にあるさまざまなことに大きく影響を及ぼすのです。

私たち一人ひとりが、買い物=ただモノを消費することと捉えるのではなく、「モノを選ぶことは、なってほしい未来を選ぶこと」と思考を転換すると、毎日の買い物が少し違ったものに感じられるかもしれません。オーガニック商品や地元産の野菜、フェアトレードのコーヒー、サステナブルな方法で漁獲されたMSC認証の鮭、再生エネルギーの電力など、それらを選ぶことの積み重ねで未来がより良いものに変わる、そんな商品はたくさんあります。

こうした「エシカル・コンシューマー(倫理的な消費者)」と呼ばれる層は、世界的に着実に広がりを見せており、SNS普及を背景に消費者キャンペーンも活発化しています。消費者の動きを受けて、企業が生産や調達方法などをサステナブルな形に転換することは、たとえ一社の動きであっても、地域社会や環境に大きなインパクトを与えます。また、サステナブルな製品やサービスを展開することは、企業のブランド価値向上や新たな顧客層の開拓にもつながり、新たな時代に「選ばれる企業」となるための重要なカギになっていくでしょう。

(宮原桃子/ライター)

 

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