Sustainability Frontline サステナビリティをカタチに
Z世代はサステナブル志向、世界の調査が映す若者の姿
先日、SDGsの達成を目指して中学生が立ち上げた一般社団法人「Sustainable Game」について耳にする機会がありました。中高生のSDGsアクションを促すオンラインコミュニティやメディアの運営、世界の課題を考えるイベント「課題発見DAY」、プレゼンコンテスト、企業とのコラボ勉強会など、とても活発でクリエイティブな活動を展開しているのです。中高生が中心となって、ここまでの組織や活動を運営している意識と行動力に、驚きを隠せませんでした。
いわゆるZ世代(1995年以降に生まれた世代)と呼ばれる彼らは、幼少期から「気候変動」や「サステナブル」「LGBT」といった言葉に触れており、学校教育などで学習する機会も多く、サステナビリティに対する意識に大きく影響しています。
今年発表された米国「サステナブル消費調査」によると、Z世代の62%がサステナブルブランドの商品を選びたいと回答し、ベビーブーム世代(1946年~1964年生まれ)の39%と大きな差が見られました。その他にも、Z世代の7割以上が企業にサステナビリティ推進を期待、5割以上がサステナブルな商品により多く支払う、「リコマース(中古品のオンライン販売)」の需要が高いといった特徴も明らかになりました。
こうした傾向は他の調査でも見られ、例えばMSC(海洋管理協議会)が世界23カ国で行った「サステナブル・シーフードに関する意識調査」でも、今後20年以内に好きな魚を消費できなくなるという危機感は、特に18歳から24歳の若年層に高いことがわかっています。この世代の回答者の74%が、昨年魚を守るために何らかの消費行動をし、89%は将来も行動すると回答しています。
また、今年はコロナ禍による消費・経済への影響が注視されていますが、アクセンチュアが15カ国で行った消費者動向調査「COVID-19が消費者行動を永続的に変える」によると、現在そしてコロナ後も維持したい消費行動として、「より持続可能な選択をする」と回答した人は54%に上りました。これは「食品の無駄を抑える」「より健康を意識した買い物をする」に次ぐ、第三位の回答数でした。サステナブル消費の潮流は、コロナ禍においても減速することなく、逆に重視される方向性が垣間見えます。
もちろん若い世代に意識や関心があっても、実際にお店で購入するかどうかは、お財布事情なども影響して、現実とはギャップがあるかもしれません。それでも、私自身エコネットワークスでの仕事の傍ら、子ども向けにエシカル消費やフェアトレードを学ぶワークショップを開催する中で、上の世代とは明らかに異なる知識や意識の変化を感じています。多くの高校生は、家庭科の授業などでフェアトレードについて学んでおり、小学生でもSDGsを知っている子どもが増え、学校のクラブ活動でエシカル部を立ち上げようとしている小学生もいました。
上の世代と比べて明らかに知識や意識の変化が生まれていることは、今後サステナブルな消費がますます拡大する流れを示しています。企業がサプライチェーン全体でサステナビリティに取り組むことは、社会的責任を果たすだけでなく、次世代の顧客開拓にもつながる、経営戦略の重要な柱になっていくでしょう。
(宮原桃子/ライター)