Sustainability Frontline サステナビリティをカタチに
VWにユーグレナ 若者の声を経営に
独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)のトップが、経営層に気候アクティビストを迎え入れることを検討しているというニュースが少し前にありました。
VW to appoint ‘aggressive’ climate activist to scrutinise policies
https://www.ft.com/content/213c954a-5748-11ea-a528-dd0f971febbc
VWは持続可能なモビリティの実現に向け、電動化と脱炭素を積極的に推し進めることを宣言しています。しかし遅々として変化が進まない状況に、アグレッシブに社内の変革を進める旗振り役となる若手の気候アクティビストを探していると、最高経営責任者が述べたそうです。
経営陣にサステナビリティの専門家を迎え入れる動きは、欧米では以前からありました。たとえばIKEAの前チーフ・サステナビリティ・オフィサーはThe Climate Groupという炭素のネットゼロに取り組む非営利組織の創設者です。グレタ・トゥンベリさんの行動の影響もあり、最近ではそこに次世代の声を取り入れる動きが起きています。
日本でも、ミドリムシの事業化に取り組むユーグレナが、18歳以下のCFO (Chief Future Officer) を採用したことが話題になりました。
未来を生きる当事者が、未来をつくる議論に参加していないのはおかしいと、2030年に向けた同社のSDGsに関する目標策定とアクションに携わるCFOとサミットメンバー10名を募集。500を超える応募者から選ばれたメンバーが活動を進めています。
未来を変えるCFO誕生
https://www.euglena.jp/cfo/
一方で、企業からのオファーを若者側が断った例もあります。独シーメンスは、オーストラリアでの石炭採掘プロジェクトへの批判の高まりを受け、気候変動問題に取り組む若者団体のドイツのFriday for Futureの23歳のリーダーに、エネルギー事業の監査委員会に迎え入れたいと打診しました。しかし活動の独立性を保てないとして断られ、代わりに気候科学者を入れてほしいと提案されました。
Climate activist turns down Siemens’ offer of seat on energy board
https://www.theguardian.com/environment/
2020/jan/13/climate-activist-turns-down-siemens-offer-of-seat-on-energy-board
より多くの企業が、未来の当事者となる次世代の声に耳を傾けていってほしいと願います。そしてその際には、ポーズで終わらせず、声をしっかりと経営の中に取り込んでいくことが、私たち大人たちの責任と言えます。