ツイッターの対応に見るプラットフォーム企業の責任

2020 / 7 / 31 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

Facebookへの広告出稿を停止する企業が相次いでいます。きっかけは、米国でのBlack Lives Matters運動への対応です。広がる抗議デモに対して、トランプ大統領が武力での威嚇を示唆する扇動的なコメントをSNSに投稿。それに対し、Facebookが明確な対応を取らなかったことから、社会の分断を深める行為に加担しないよう広告主に求めるキャンペーンが展開され、これまでに400社を越える企業が賛同しました。ユニリーバやスターバックス、コカ・コーラやアディダスなど、年間出稿額が1社で何百万ドル、何千万ドルに及ぶような企業もいます。

同じトランプ大統領の投稿への対応で、注目されたのがTwitterです。5月から3度にわたり、トランプ氏の投稿に対して「暴力を賛美する内容」「事実確認を要する」「操作されたメディア」といった警告ラベルを表示しました。投稿内容への介入はできるだけ行わないというこれまでのスタンスから、大きく一歩を踏み出したと言われています。

そうしたTwitterですが、日本国内ではまた違った見方がされています。Twitterには、暴言や脅迫、差別的言動に関するポリシーといった利用ルールがありますが、ツイッタージャパンがこうしたポリシーに違反する多数のヘイト投稿を放置していると批判されています。

こうした批判に対し、「恣意的な運用は行っていない」「人力とAIで24時間365日の監視体制を敷いている」など、東洋経済のインタビューで同社の社長がコメントしています。また業界全体としての対応を進めるべく、今年4月には同社に加えてフェイスブックジャパン、LINE、バイトダンス(TikTokを運営)が中心となって設立された一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構が、ソーシャルメディア上の名誉棄損や侮辱等に関する対策を強化する声明を発表しました。

難しい問題であることは十分に承知していますし、こうした動きは評価できますが、私は特に以下の2点が気になっています。

1つは、透明性と説明責任が十分に果たされていないこと。ポリシーがあっても、適切に運用されているかどうかが現状ではわかりません。透明性レポートが年2回公表され、削除や凍結されたアカウントの数などが国別に開示されてはいますが、説明もなくその数字が何を表すのかがこれを見ただけではわかりません。

もう1つは、こうした問題を「ビジネスと人権」の問題としてどれだけ正面から捉えているのかわからないという点です。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を参考にしているとの記述は見られるものの、同社のルールやポリシー、またトップの発言に人権というキーワードは出てきません。利用者のモラルや使い方の問題として終わらせるのではなく、人権侵害に意図せず加担してしまっているプラットフォーマーの責任として取り組むことが期待されます。

上記の点はTwitterに限らず言論プラットフォームを提供する多くの企業に共通するものであり、さらに言えば、こうした問題はプラットフォームビジネスを展開する企業すべてに共通するものと言えます。新しいプラットフォームに対しては、規制が十分に追い付いていないことがほとんどのため、法令を遵守するだけでは不十分です。自社のサービスが人権に及ぼす影響を自覚し、影響を受ける当事者の視点に立って、意図しない加担の問題に積極的に向き合っていく必要があります。

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