男性社員の育休100%のその後

2020 / 3 / 30 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

私ごとですが、4月から約3ヶ月育休を取得します。すでに子どもが生まれて1週間が経ちますが、子育ての大変さは聞くのと実際に体験するのとでは大違いです。。。自身が育休を取る立場になり、以前紹介した積水ハウスの男性社員の育休100%取得宣言のその後の状況が気になり、調べてみました。

【リリース】「イクメン休業」制度スタートから1年取得対象者253名100%完全取得を達成

3歳未満の子どもを持つ全社員を対象に1ヶ月以上の育休取得を目指すこの制度は、2018年9月にスタートし、1年間で見事100%を達成しました。現在は運用対象をグループ社員にも広げています。

同社のウェブサイトでは、日本全国の男性の育休実態を調査した「イクメン白書」も公開しています。白書を見ると、企業で働く小学生以下の子どもがいる20〜50代の男女9600人を対象に調査を行った結果、

・1日以上の育休を取得した男性は1割(9.6%)
・平均取得日数は2.36日

と、ほとんど取得が進んでいないことがわかります。厚生労働省が発表している結果も、「男性の育休取得率は6.16%」「取得日数は5日未満が56.9%、8割以上が1ヶ月未満」と近い数値となっています。

一方で、意識について見てみると、男女共に8割が男性の育休取得に賛成しています。しかし自身が育休を取得したいかというと言う問いには、男性は60.5%しか取得したいと答えていません。さらに夫に育休を取得させたいと考える女性は49.1%と半分を割っています。

実際に育休を取得しなかった男性に理由を聞くと、

  • ・会社で制度が整備されていない
    ・職場に育休を取得しにくい雰囲気がある
    ・周囲に迷惑をかけてしまう
    ・取得するメリットを感じない
    ・給料・手当てが下がる
    ・自分にしかわからない業務がある、引き継ぎがうまくいかない

といった答えがあがっています。(上から回答が多い順)

女性が夫の育休取得に賛成しない理由については、いくつか自由記述の抜粋があるのみですが、職場の環境や理解による取りづらさに加えて、収入がダウンしてしまうこと、また家事育児のことがわからない夫が家にいることで逆に負担が増えると言う声もあります。

白書では、男性の育休取得の推進に必要なことのトップ3として、

1.育児休業中の給料・手当が変わらない
2.育児休業後も業務の調整がつく
3.直属の上司が理解・サポートしてくれる

を挙げています。

どれも重要であり、特に経済的な補償は国全体として考えていくべき問題です。またそれ以外にも、社会全体に潜む、育児は女性がするものという無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)を変えて行く必要もあります。一例として、ファザーリング・ジャパンの調査では、産前講座の内容が母親に偏っている実態を明らかにしています。

企業としては、上司の理解促進など、どう推進していくかを考えることはもちろんのこと、なぜ育休取得を推進するのかという目的とゴールを、経営戦略上の観点から改めて位置付けることが重要だと考えます。企業経営の観点からは、育児休暇という制度の利用率を高めることそれ自体がゴールではないはずだからです。

私も3月中旬に第1子が生まれ、これから3ヵ月間、仕事を休みます。当初は完全に休む予定で考えていましたが、様々な状況を考慮し、基本は休みとしつつ、週に数時間程度、必要な作業のみ担当する、という形を取ることにしました。

決められた制度に従ってただ形式的に休むのではなく、休むことが必要なとき、休まざるを得ないとき、休みたいときに休むことができる柔軟な制度や職場環境を実現できているかどうか。それこそが、子育てや介護が当たり前になっている社会、また現在起きているパンデミックのような不測の事態が発生する先が見えない社会に対応できる、強くしなやかな組織作りにつながっていくはずです。

組織の規模や業種業態によっても、取り組みやすさや方法やり方は異なりますが、まずはやってみないことには始まりません。私も休み期間に入って、早速職場に負担をかけていますが、課題を次の改善に変えて、人々がより暮らしやすく働きやすい組織と社会作りに貢献していきたいという思いを胸に、まずは目の前の小さな命に全力で向き合っていきたいと思います。

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